インストール

 HTTPサーバソフト「Apache」は、Solaris、FreeBSD、Red Hat Linux、Turbolinuxなどの製品パッケージやディストリビューションのシステムCD-ROM内に用意されており、OSインストールと共にインストールされる場合が多い。しかし、サーバ運用を続けていると、OSインストール後にアップデートをする必要性が起こり、また新規にインストールをしなければならない場合もある。このため、「インストール」について知っておくのはApacheの使いこなしの上で重要な1つであろう。ここでは、次に挙げるインストール方法について紹介をしていく。

1. ソースコードからコンパイルしてインストール

図

 拡張子にtar.gzと付けられている形式のアーカイブファイルをダウンロードし、ソースコードをコンパイルする方法だ。この方法の場合、あらかじめコンパイラなどのツールがインストールされている必要がある。

http://sunsite.sut.ac.jp/pub/apache/dist/httpd/

を見ると分かるようにいろいろなアーカイブ形式が公開されているが、前述したようにtar.gzの末尾のものを入手すればよい。

 UNIXやPC UNIXのほとんどでは、コンパイラをはじめとする各種ツールがディストリビューションパッケージ内に用意されており、問題となることはないだろう。この方法では、RPMパッケージに比べコンパイル時に各種オプションを付加させることで、さまざまな機能制御ができるというメリットがある。その反面、ある程度の手間と知識を要するのは確かだ。

 具体的なメリット例としては、不要な機能を一部無効にしてメモリ使用量を減らしたり、コンパイル時に「拡張モジュール」(後述)を指定し、メインのバイナリファイル(httpd)に組み込んでしまうこともできる。

2. RPMなどのバイナリパッケージでインストール

図

 Red Hat Linuxの「RPMパッケージ(.rpm)」やDebian Linuxの「Debianパッケージ(.deb)」など、Linuxディストリビューション固有の「バイナリ」パッケージでインストールする方法だ。ここでは、主にRPMパッケージでの例を挙げていく。

http://www.rpmfind.net/linux/rpm2html/search.php

を見ると分かるそれぞれのディストリビューションに特化されたものが用意されている。

 RPMによるインストールでは、パッケージの情報が管理されるため「rpm」コマンドだけで制御ができる。このため操作は容易であり、他のツールとの動作環境を誤って壊すなどの心配も最小限だ。アンインストールやアップデートも容易な点も挙げられる。何よりも、ディストリビューションの種類やバージョンに合致したパッケージをインストールすれば、必ず動くという安心感が特徴だろう。

 しかしその反面、コンパイル時に各種オプションを付けてコンパイルすることができないため、比較的カスタマイズの柔軟性が制限される。基本的にコンパイル作業がないため、機能のカスタマイズは設定ファイルでしか行えない。

 またRPMパッケージは、主にディストリビュータ(レッドハットやターボリナックスなど)から提供され、ディストリビューションに含まれているのと同じもの、または、そのセキュリティホールなど致命的な問題点を修復し、バージョンアップしたものとなる。そのため、最新バージョンのパッケージが常に提供されるわけではない。

3. バイナリファイルをインストールする

 ApacheのWebサイトのダウンロードページには、各OSごとにコンパイルされたバイナリファイルが用意されている。tar.gz形式のアーカイブファイルとして提供されており、展開後、適当なディレクトリにコピーするだけでコンパイルすることなく動作させることができる。

http://sunsite.sut.ac.jp/pub/apache/dist/httpd/...

を見ると分かるように、それぞれのプラットフォームごとにバイナリが用意されている。Linux以外でも手軽にコンパイル済みのバイナリ入手できるのが特徴だ。

 しかし利用しているライブラリなどの依存関係により正常に動作しない可能性もあるため、基本的にはバイナリファイルをインストールする方法を推奨しない。本稿でも、この方法についての解説は割愛する。

 以上、どのインストール方法であってもApacheの基本的な機能を利用することが可能だ。しかし、この記事で紹介をしていく手順を追っていく場合には「1」の方法である必要がある。ただし、機能拡張する際のmodモジュールは、RPMパッケージのものでも十分に使用することができるはずだ。基本的には、それほどカスタマイズする必要性が無く基本機能のみを利用するのであれば「2」の方法がよい。

 本稿では、動作環境としてRed Hat Linux 7.3を例に挙げ、「1」と「2」の方法について解説しよう。「1」の方法は、ディストリビューションやOSによる依存性は無いため、他のディストリビューションやLinux以外のOSでも、同じ方法でインストールが可能だ。

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