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Turbo/Red Hat/Vine Linuxそれぞれからアップグレードするには

 ここからは,実際にカーネル2.4にアップグレードするための詳細な手順を解説していく。しかし,現在流通しているLinuxディストリビューションは数十種類にも上るため,すべてのディストリビューションについて解説することは到底不可能だ。

 そこで,カーネル2.2を搭載している次の3つのディストリビューションパッケージを例に挙げて,それぞれのカーネル2.4へのアップデート方法について具体的な方法に触れる。


 上記のどのディストリビューションもRed Hat系のLinuxだ。このため,上記以外のものであっても,Red Hat系であればここで説明する方法と,ほとんど変わりない方法でアップグレードが可能だと思われる。

アップグレードの注意点

 カーネル2.4にアップグレードする実際の手順について説明する前に,アップグレードする際の注意点について述べておく。

既存のカーネルを上書きしてはいけない

 カーネルは,システムの中枢的な部分を担っている。この部分をアップグレードするということは,アップグレードに失敗すると,Linuxのシステム全体が誤動作したり,不安定になったり,最悪の場合は起動すらしなくなる可能性がある。よって,サーバを始めとする業務向けのマシンなどは,安易にカーネル2.4を適用するのは避けたほうがよい。またクライアント用とのマシンであっても,カーネル2.4にアップグレードしたときの失敗を考えて,必要なファイルのバックアップを取っておくことをおすすめする。

 カーネルをアップグレードする前には,万が一起動しなかった場合に備え,起動用のフロッピーディスク(ブートディスク)を用意しておくのが安全だ。Red Hat Linuxであれば,Linux Tips「起動用のフロッピーを作成したい」を参考に作成してほしい。市販されているディストリビューションであれば,起動用のフロッピーディスクが付属しているので,これを利用するとよい。

カーネル以外のプログラムアップデート

 実は,この点がいちばんの問題となるところだ。カーネルのアップグレードは,あくまでもカーネルそのものをアップグレードするだけだ。インストールされている各種プログラム(ツールやコマンド)はアップグレードされない。そのため,すでにインストールされているプログラムと新しいカーネルとのあいだで不整合が生じ,一部のプログラムが正しく実行できない可能性がある。そのため,動作しなくなってしまった各種プログラムをリコンパイルしたり,場合によっては新しいバージョン入手し,再度インストールする必要がある。

 ここではカーネルのアップグレードに必須なプログラムについては可能な限り解説する。しかし,インストールされているプログラムはディストリビューションごとに異なり,また,インストール時のオプション設定によっても変わってくる。そのため,実際にカーネル2.4にアップグレードした時にどのプログラムを修正すべきかという個々の解説は到底不可能だ。環境によっては,ほかのプログラムにも手を入れる必要があることを忘れないでいただきたい。


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