●メール爆弾ソフト

 メール爆弾を送付する際には,それを自動的に行うツールが使用される。インターネット上ではさまざまなクラッキングツールが存在し,また簡単にダウンロードできる。メール爆弾を目的としたソフトウェアも数多く,多機能なものになっている。

 では,あるセキュリティチームが作成したメール爆弾ソフト(写真1)を参考に,その内容を見ていくことにする。

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写真1■とあるセキュリティチームが作成したメール爆弾ソフト

・Mailbomber
 これは特定のメールアドレスに,ユーザーが設定した数のメール(数百〜数千通など)を送るためのものだ。前述したように大量メールを自動的に送付する際に使用される(写真2)。

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写真2■特定のメールアドレスに大量のメールを送りつける

・MassMailer
 同じ内容のメールを複数に送付する。スパム行為にも用いることができる(写真3)。

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写真3■複数に同じ内容のメールを送りつける

・MailingList
 あらかじめ登録されているメーリングリストへ設定したメールアドレスを自動的に登録していく。メーリングリストへの登録数が多いため,登録確認のメールのみでもメール爆弾の機能を果たすことになる(写真4)。

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写真4■あらかじめ登録したメーリングリストへ設定したメールアドレスを登録する

 では実際に3つ目にある「MailingList」機能を使うと,どの程度のメールが送付されてくるのだろうか。事前に作成したメールアドレスでMailingListを使用してみることにする(写真5)。

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写真5■特定のメールアドレス宛に送信してみる

 登録ボタンを押してからものの数分で数百通のメールを受信した(写真67)。

画面 写真6■登録ボタンを押してほんの数分で受信したメール数

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写真7■実際に受信フォルダを開くと,大量のメールが送られてきているのが分かる

 紹介したものは少し古めのツールのため,すでに存在しないメーリングリストなどもある。しかし,どのメール爆弾ソフトを利用したとしても,メールのやり取りの多いメーリングリストへ登録されてしまえば,毎日のように大量のメールを受信することになってしまうのは変わらない。

 もちろん,こういったツールを使わなくても,自分でオリジナルのツールやCGIスクリプトを作成すれば,同様の機能は簡単に作成することができる。また,中にはホームページ上からメール爆弾を送付できるサイトも存在する。インターネット上ではこういったツールが簡単に入手でき,利用される可能性があるということを知っておこう。

●メール爆弾は罪になる
 ここまで読んで,「あいつにメール爆弾を送ってやる」と思った人もいるかもしれない。確かにツールを使用してメール爆弾を送ることは簡単なことだ。しかし,メール爆弾を送付するという行為は立派な犯罪である。

 メール爆弾を実行するということは,相手に苦痛を与える(数百通のメールを数日間にわたり送付する)目的で攻撃する,もしくは相手のメールサーバもろともダウンさせるということになる。しかしいずれの場合も,発信元は絶対に突き止められる。そして「業務妨害罪」に問われることとなる(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。また,メールサーバをダウンさせた場合,標的としたユーザー以外にも,メールサーバを管理するプロバイダにも被害がおよぶので,損害賠償なども問われることになる。つまり,ほんのイタズラ心で行うにはあまりにリスクが高いということだ。


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