インターネットで流通しているフリーソフトウェアは,無料で利用できるのが一番の魅力だ。しかしこれらのソフトの中には,ユーザーの情報を勝手に送信してしまう「スパイウェア」と呼ばれるものもある。今回はこのスパイウェアから身を守る方法を解説しよう |
前回はWebサイト閲覧時に取得される情報を,Webバグを例に挙げて解説したが,今回はソフトウェアに潜む「スパイウェア」について考えてみよう。
日ごろ使っているソフトウェアの中には,インターネット上で手軽に入手できるフリーソフトウェアや,シェアウェアを利用している人も多いだろう。こういったソフトウェアの中には,「アドウェア」(ADware)と呼ばれるソフトウェアがある。無料で使用できる代わりに,そのソフトウェアを起動している間は,ウィンドウに広告バナーが表示されるわけだ。
「広告バナーくらいで無料で使用できるなら」と,ついついインストールしてしまうことも多いだろうが,この広告バナー表示もWeb上の広告バナーと同様,広告を出す側から見れば,ユーザーのニーズを知り,それぞれに合わせた広告を表示したほうsが広告としての価値も高まるし,効率的だ。
つまりソフトウェアをインストールする際に,ユーザーの情報を収集する機能もインストールし,インターネットを通じてユーザーの情報を取得すれば,そのユーザーに合わせた広告を表示することができる。スパイウェアとは,このようなユーザー情報収集のための機能が組み込まれたソフトウェアのことを称している。実際にいくつかのソフトウェアには,情報収集機能がインストール時に組み込まれ,広告の表示だけでなく,ユーザー情報収集などに用いられている。
スパイウェアで取得されているユーザー情報は,使用されているコンピュータのIPアドレス,そのソフトウェアの使用回数,どのようなホームページを閲覧しているか,利用しているOSの種類,などが考えられる。組み込まれているスパイプログラムは,そのソフトウェアを起動している間だけ動作するものから,OSを起動している間は常駐しているものなどさまざまな種類がある。
アドウェア(スパイウェア)の中には,ソフトウェアインストール時に,情報収集機能が組み込まれることをプライバシーポリシーとともに明示しているものもあるが,ほとんどのユーザーはななめ読みする程度で「同意」ボタンを押してしまうのではないだろうか。また,そのソフトウェアをインストールすることで,どんな情報が取得されるのかといった具体的な記述がなければ,ユーザー側から「プライバシーの侵害行為」と非難を浴びてしまうのも仕方のないことだろう。

写真1■AudioGlaxy 6.01インストール時に表示されるソフトウェア利用許諾書。「WebHancer」がインストールされることが明示されている |