| ブックレビュー（2000年1月） |
Windows NT管理効率化ガイド
著者：安納順一，西正誠
価格：3800円（税別）
体裁：B5変形版 480ページ
付録：CD-ROM×1枚
ISBN：4-274-06351-8
発行：株式会社オーム社
発行日：2000年1月25日
帯のコピーにあるとおり，「時間短縮・コスト削減・安全確実・楽して管理」を目的としたノウハウ集。Windows NT 4.0のシステム管理コストを削減するための実践ノウハウが集約されているので，Windows NT 4.0の管理者には特にお勧めしたい。
従来，Windows NT 4.0によるネットワーク構築を解説した書籍は多数刊行されていたが，ログオンスクリプトやユーザープロファイル，ZAK，システムポリシーなど，管理コストを削減したり運用ポリシーを反映させたりするためのノウハウが記された文献は，正直にいってあまりなかった。おそらく管理者の多くは，雑誌の記事やWeb上のリソースを手繰って，これらのノウハウを入手していたはずである。特に学校関係に導入されたWindows NTの管理者は，高価なトレーニングや講習会に参加することもできず，苦労が多かったことだろう。
本書では，「第1部 概要説明編」でログオンスクリプトやユーザープロファイル，システムポリシー，ZAK，無人インストール，コマンドラインツール，Windows Scripting Host，Security Configuration Managerについて概説したあと，「第2部 実践編」でその具体的な運用例を紹介している。特に第2部では，「第3章 クライアントとユーザー環境の集中管理」「第4章 セットアップを省力化する」「第5章 システム資源管理の効率化」「第6章 ネットワーク・ドメイン管理の効率化」について，設定例やスクリプトの例を交えて解説されている。Appendixでは，管理者にとって有用なコマンドラインツールのリファレンスと，Windows Scripting Hostのリファレンスが掲載されており，有益である。
惜しむらくは，添付CD-ROMの内容であろう。添付CD-ROMには書籍中で紹介されているサンプルスクリプトなどが収録されているのだが，CD-ROM1枚に246Kバイト（Mバイトではない！）のデータというのはいささか食い足りない。FDよりもCD-ROMのほうが安価になっているとはいえ，このデータ量であれば，思い切ってインターネットからダウンロードできるようにしてもらったほうが潔かったのではあるまいか。もっとも，書籍の定価は内容から見ると安価な部類に入ると思われるので，トータルとしては十二分に満足できる内容となっている。
現実には，Windows 2000への移行は緩やかなものとなると思われるので，Windows NT 4.0の管理者の苦悩は続く。この書籍は，そのような管理者の一助としては，ふさわしいものといえるだろう。全編を通じて，Windows 2000では標準搭載されているさまざまな機能への橋渡しとなる記述が多いので，Windows NT 4.0の管理者にとっては，将来的にも有益な部分が多いはずだ。
実森仁志
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