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Directory first step 2... いま,なぜディレクトリサービスか
sankaku.gif 増加の一途をたどるネットワークリソース

 システム管理者は,企業に導入されたシステムを日々管理し,その安定した運用を堅持しなければならない。たとえば,各PCの設置,オペレーティングシステムのインストール,ユーザー環境の構成,障害が発生した場合のトラブルシューティング,アプリケーションの配布,性能管理,ネットワーク状況の監視,ヘルプデスクの運営など,さまざまな業務を一手に引き受けることになる。

 このようなシステムの運用管理に伴う業務も,PC導入の黎明期のように,「少数のPCがスタンドアロンで運用されている」というのであれば,ほかのコンピュータと接続する機会も少ないので,負担はあまり大きくならない。たとえば,ほかのコンピュータと接続することがなければ,ほかのコンピュータの名前からアドレスを検索する必要など生じないだろう。仮にネットワークで接続されていたとしても,コンピュータの台数が少なければ,アドレス帳を管理する手間も小さく,管理者の負担も取りざたするほどではないだろう。何より,コンピュータの台数が少なければ,ユーザー環境を各PCごとに1台ずつ設定したり,アプリケーションをインストールしたりすることも,時間はかかるが負担のかかる作業とはいえないはずである。

 しかし昨今は,コンピュータのハードウェアの性能が向上する一方で低価格化が進み,企業に導入されるPCの台数も飛躍的に増加している。一人1台はもはやあたりまえ,場合によっては一人が複数台のPCを利用していることも珍しくない。それらのPCはネットワークで相互に接続され,情報をやり取りしている。さらに,インターネットの普及やビジネス環境の変化に合わせて,企業のネットワークシステムは,パートナー企業やユーザーなどのシステムともインターネットを経由して接続されるようになってきている。この結果,多くのコンピュータやネットワーク機器が広い地域に分散するようになり,ネットワークを管理する負担も過大なものとなってきたのである。たとえば,ユーザー数が増大し,サーバー台数が増加すれば,自分の利用可能なサーバーがわからない利用者が必ず出てくることになる。このような問い合わせは,ヘルプデスクの担当者であるシステム管理者のもとにすべて集中する。システム管理者も,システムにかかわるすべての設定を暗記しているわけではないだろうから,管理コンソールから各サーバーにアクセスし,そのユーザーにアクセス権限が与えられているかどうかを逐一調べなければならないかもしれない。TCO(Total Cost of Ownership)削減が叫ばれるなか,このような管理負担を軽減し,管理コストを削減することが求められており,その一助を担うものとしてディレクトリやディレクトリサービスが注目されているのである。

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