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Directory first step 3...
ディレクトリサービスをどのように利用するのか

 「ディレクトリとはオブジェクトを格納するデータベースである」と理解すれば,さまざまな情報を管理するためにディレクトリを利用することができる。そして,ディレクトリサービスは,ディレクトリに格納されたさまざまな情報をエンドユーザーに提供するために活用される。つまり,ディレクトリに格納されているオブジェクトおよびその属性を,参照・検索・抽出することが可能となる。たとえば,ユーザー,コンピュータ,ルータ,プリンタ,アプリケーションといった特定のオブジェクトタイプを検索したり,ユーザー名,電話番号,住所,ネットワーク番号など特定のオブジェクト属性を検索したりすることができる。

 それでは,ディレクトリとディレクトリサービスを具体的にどのように利用したら効果的なのかについて考えてみよう。一般的には,主に次のような場合に利用すると,大きな効果を得られるものと考えられている。

  • 物理的に分散したネットワークリソースを統合的に一元管理する場合
  • ポリシーに基づいてネットワークを管理する場合(たとえば,サーバー/クライアントの構成,利用アプリケーション,ネットワーク帯域幅の割り当てなど)
  • ロールに基づいてネットワークの管理権限を委任する場合(オブジェクトの登録,変更,削除,アクセス権限の付与など)
  • 組織変更や人事異動などによる物理ネットワーク構造の変更やユーザーアカウントの変更を柔軟にする必要がある場合
  • 企業内のネットワークリソースに透過的にアクセスしたい場合
  • 企業内外を問わず,一時的なネットワークアクセス頻度が高い場合
  • 堅牢なセキュリティを,わかりやすく使いやすいユーザーインタフェースで設定することが必要な場合
  • グループウェアや電子メール管理システムなどに組み込み,メッセージを一元管理する必要がある場合
  • ネットワーク管理コストを削減したい場合

 結局のところ,ディレクトリとディレクトリサービスは,ネットワーク全体の管理を効率化して管理コストの削減を図る,あるいは新しいビジネスアプリケーションを開発するためのインフラとなる。したがって,最も簡単な例では,Microsoft Exchange ServerやLotus Notes/Dominoなどのグループウェアとディレクトリサービスを,あるいはcc:Mailなどの電子メールシステムとディレクトリサービスを,それぞれ連携させ,共通するアドレス帳をディレクトリに格納して利用することもあるだろう。そのほかにも,ディレクトリとディレクトリサービスをインフラとして活用可能なアプリケーションの分野は,多数考えられる。本節では,ディレクトリおよびディレクトリサービスを基盤としたアプリケーションの例を示す。

Fig.5 ディレクトリサービスの用途
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