Directory first step 6...
ディレクトリサービス製品
歴史的に,ディレクトリサービス製品には次のようなものが存在し,このうちのいくつかは本稿の執筆時点でも広く利用されている。
- DNS(Domain Name System)
- Sun MicrosystemsのNIS(1980年代にSun Microsystemsが提供を始めたNetwork Information Service。当時は「Yellow Page」と呼ばれた)
- BanyanのStreetTalk(1984年にBanyan SystemsがVINESにStreetTalkを実装した)
- IBMのDSS(Directory&Security Server)
- LotusのDomino Directoryやcc:Mail
- MicrosoftのWindows NT Directory(SAM)やExchange Server
しかし,上記のようなディレクトリサービス製品は,用途も拡張性も制限されているため,必ずしも「今日的なディレクトリサービス」とはいい難い。「今日的なディレクトリサービス」に値するディレクトリ製品のうち,本稿の執筆時点で出荷されている,あるいは出荷が予定されている製品としては,次のようなものがある。
- MicrosoftのActive Directory
- NovellのNDS(Novell Directory Service)
- Netscape CommunicationsのNetscape Directory Server
- OracleのOID(Oracle Internet Directory)
ここでは特に,Active DirectoryとNDSに焦点を絞って,その概要を説明する。ただし,Webシステムの世界ではNetscape Directory Serverの普及率も高いので,Netscape Directory Serverについても簡単にコメントする。
ただし,ここでの主眼は,各製品の優劣を比較あるいは判断することではない。ディレクトリサービスを導入する組織の規模や目的,用途などの分析を前提とすることなく,製品の優劣を比較しても無意味である。
ここでの主眼は,各製品の特徴を正しく理解し,自分の組織の目的や用途,管理者のスキルなどに合致したディレクトリサービス製品を選択する材料とすることである。あるいは,選択したディレクトリサービス製品を誤りなく展開してゆくうえでの材料とすることである。本質的に「完全無欠のディレクトリサービス製品」などは存在しないのであり,製品の選択にあたっては,必ずなにがしかのトレードオフを迫られる。そのトレードオフのポイントを理解していただくことが,ここでの主眼である。
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