この特集のトップページへ
Chapter 1:NetBIOSの基礎知識

1.2.3 マスタブラウザの選出

 マスタブラウザは,HostAnnouncemetに含まれるdomain_name<1eh>によって選出される。選出されたマスタブラウザは,特に理由がない限り永続的にマスタブラウザであり続けるが,次のような状態になったときは,ほかのコンピュータにその役割を譲ることになる。

1) 起動時にマスタブラウザが存在しなかったとき
 コンピュータの起動時にマスタブラウザが見つからなかった場合には,そのコンピュータがマスタブラウザとなる。

2) 現在のマスタブラウザよりも優先度の高いコンピュータが起動したとき
 よりふさわしいコンピュータをマスタブラウザとして利用するため,優先度の高いコンピュータが起動したときには,マスタブラウザは交代することになる。各コンピュータの使用しているオペレーティングシステムや役割により,マスタブラウザになる優先度はあらかじめ決まっている。各コンピュータは起動時にマスタブラウザに対してHostAnnouncemetを送信するが,このパケットにはBrowser Election Versionという項目が含まれている。この項目はブラウザ選出の優先度を表しており,値が高いものほど優先度が高くなる(マスタブラウザとして選出されやすくなる)。したがって,マスタブラウザが自分よりも高いBrowser Election Versionを格納したHostAnnouncemetを受信すると,マスタブラウザはHostAnnouncemetの発信者に変更される。

 各オペレーティングシステムごとのBrowser Election Versionの値はTable 1-9のとおりである。Browser Election Versionの値が同じ場合には,動作時間が長いものや,NetBIOS名が辞書順に若いもの(つまり「AServer」と「BServer」があった場合は「Aserver」)を選出する。

Table 1-9 Browser Election Versionの値
オペレーティングシステム
Windows NT Server 0x20000000
Windows NT Workstation 0x10000000
Windows 95 0x01000000
Windows for Workgroups 0x01000000

3) マスタブラウザがいなくなったと判断されるとき
 マスタブラウザがいなくなったと判断される場合とは,具体的には次の2つである。

  1. クライアントがバックアップブラウザにブラウズリストを要求しようとして失敗した場合,クライアントはマスタブラウザに新しいバックアップブラウザのリストを要求する。このとき,マスタブラウザに接続できなければ,マスタブラウザの選出が始まる
  2. バックアップブラウザがマスタブラウザにブラウズリストを要求しようとして失敗すると,マスタブラウザの障害が検出され,マスタブラウザの選出が始まる

PREV 12/14 NEXT