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Chapter 1:NetBIOSの基礎知識
1.2.4 異なるネットワークアドレスのブラウジング |
WANを介して異なるネットワークアドレスをブラウジングするためには,各サブネットにドメインマスタブラウザとして動作するWindows NT Serverが必要となる。各サブネットのドメインが異なる場合は,双方にPDCが存在する必要がある。各PDCは,ドメインマスタブラウザとなり,各サブネットのドメインリストをやり取りする。1つのドメインが複数のサブネットにまたがっている場合は,各サブネットのセグメントマスタブラウザが,ドメインマスタブラウザであるPDCに情報を送信する。これらの処理は15分おきに実行される。つまり,ネットワークアドレスの異なるコンピュータのブラウジングは,各ドメインマスタブラウザやセグメントマスタブラウザが交換したブラウズリストをバックアップブラウザがコピーし,その情報をクライアントが受け取ることで実現される。
Fig.1-2 異なるネットワークアドレスのブラウジング |
ドメインマスタブラウザは,domain_name<1bh>というNetBIOS名を持つ。ドメインマスタブラウザを識別するためには,このNetBIOS名を名前解決しなければならない。各サブネットに分散されたセグメントマスタブラウザやドメインマスタブラウザが,異なるネットワークアドレスに存在するドメインマスタブラウザを発見するためには,WINSかLMHOSTSファイルを用いるしかない。ここでは,LMHOSTSファイルに記述する方法を紹介することにして,WINSを利用する方法についてはChapter 2で説明する。
ドメインマスタブラウザとセグメントマスタブラウザのLMHOSTSファイルに,次のように記述する。なお,マイクロソフト社のサポート情報(文書番号:J030016)によると,LMHOSTSファイルを利用したドメインのブラウジングは,正式にサポートされていないことになっている。
下記の例では,別セグメントに存在するPDCを「remotepdc」,ドメイン名を「remotedom」と記述している。
○Windows NTの場合
192.168.2.1 remotepdc #PRE #DOM:remotedom
○Windows 95,Windows 98の場合
192.168.2.1 remotepdc #PRE #DOM:remotedom 192.168.2.1 "remotedom \0x1b" #PRE
クライアントがnet viewコマンドを使用して個別にブラウズリストを取得すればよい場合は,ブラウズリストが必要な各クライアントのLMHOSTSファイルに次のように記述すればよい。
192.168.2.1 remotepdc #PRE #DOM:remotedom 192.168.2.1 "remotedom \0x1b" #PRE
なお,ブラウズできたからといって,必ずしも接続できるわけではないことに注意してほしい。ブラウジングはあくまでもコンピュータ名の一覧を取得するだけであり,各コンピュータのIPアドレスなどを通知するわけではない。したがって,[ネットワークコンピュータ]アイコンを開いたときに表示されているコンピュータのうち,ローカルネットワーク上のコンピュータには接続可能で,リモートネットワーク上のコンピュータには接続できない,という現象が発生する可能性がある。これは,そのコンピュータの名前を解決できないからである。接続する必要のあるコンピュータは,すべてLMHOSTSファイルに記述しておく必要がある。
織田 薫(熊野 大介,Bridge Metaware)
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