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Chapter 4:DNS(Domain Name System) 〜委任と内部ルート〜

4.5 DNSサーバーの設置計画

 DNSサーバーは,名前解決を試みるときに必ずといってよいほど利用される。DNSサーバーがダウンしてしまうと,名前を解決できなくなってしまうため,一般的なTCP/IP通信のほとんどが利用できなくなってしまう。もちろん,IPアドレスを直接指定すれば接続できるのだが,インターネット上に存在するホストのIPアドレスをいちいち覚えていることはまれだろう。また,DNSサーバーは電子メールの配送にも深くかかわるため,DNSサーバーがダウンすると,電子メールが配送されなくなることもある。このような問題を発生させないためにも,DNSサーバーの設置計画は非常に重要である。

 ここでは,DNSサーバーをどこに設置すべきか,セカンダリサーバーをどう設置すべきか,TTLはどのように設定するべきか,などを解説する。

4.5.1 DNSサーバーの設置

 DNSサーバーは,どこに設置すればよいのだろうか。一般的には,クライアントと同じLAN上に設置すればよいだろう。DNSは,TCP/IPで通信するときに必ずといってよいほど利用されるサービスなので,できるだけレスポンスがよい位置に設置することが望ましい。

 複数のLANが存在する場合には,各LANを別のドメインにするのであれば,それぞれのLANにプライマリサーバーが必要になる。しかし,各LANを同じドメインにするのであれば,プライマリサーバーを1台設置し,そのほかのLAN上にはセカンダリサーバーを設置すればよい。

 また,小規模なLANが1つだけ存在し,インターネットに接続するような環境では,直接プロバイダのDNSサーバーを使用するようにクライアントを設定するのではなく,自分のLAN上にキャッシュ専用のDNSサーバーを設置し,それを参照するように設定するだけでも,名前解決の速度は向上する。

Fig.4-4 キャッシュ専用のDNSサーバーの設置
fig.4-4

 ところで,複数のLANが存在するものの,各LANには少数のクライアントしか存在しないため,各LAN上にDNSサーバーを設置するのは難しいという場合もあるだろう。このような場合は,どこかに1つだけ設置したDNSサーバーを使用するように設定するか,HOSTSファイルを利用するしかない。DNSに対して名前解決を要求するパケットと,それに対する回答のパケットは,さほど大きなものではないため,WANの帯域を圧迫するほどの通信が発生するわけではない。しかし,WAN回線が専用線ではなく,パケット課金やダイヤルアップ接続などの場合は,名前解決のたびに課金されることに注意しなければならない。

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