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Chapter 8:Microsoft DNS 〜Windows 2000のみでの構成〜

見出し 8.2.1 TCP/IP関連パラメータの設定
 Windows 95,Windows 98,Windows NTなどの従来オペレーティングシステムの場合,[コントロールパネル]から[ネットワーク]を実行して[TCP/IPのプロパティ]ダイアログボックスを開けば,すべてのTCP/IPパラメータを構成することができた。しかしWindows 2000では,ホスト名またはコンピュータ名と,DNSサフィックスの2つを,[コントロールパネル]の[システム]で設定するように変更されている。

 注意しなければならないのは,Windows 2000では,TCP/IPネットワークで使用するホスト名と,NetBIOSで使用するNetBIOS名に,別々の名前を設定することはできないということである。具体的には,「コンピュータ名」として設定された名前が,ホスト名とNetBIOS名に共通して利用される。

 また,Windows 2000では,プライマリDNSサフィックスのほかに,各ネットワークアダプタごとのDNSサフィックスを設定することができる。この機能は一般的に,複数のネットワークアダプタが搭載されたマルチホームコンピュータで使用される。各ネットワークアダプタごとに設定されたDNSサフィックスは,プライマリDNSサフィックスを補って名前解決しようとして失敗した場合に用いられる。DNSサーバーをインストールするときに実施される自動構成で利用されるのは,ネットワークアダプタごとのDNSサフィックスの値ではなく,プライマリDNSサフィックスの値である。

 Windows 2000では,インストールが完了した時点でコンピュータ名は設定されているのだが,プライマリDNSサフィックスの値は設定されていない。したがって,Windows 2000のインストールが完了した段階で,手作業でプライマリDNSサフィックスを設定しなければならない。また,必要であれば,コンピュータ名の設定を変更することもできる。

注意 ドメインコントローラとして設定されたコンピュータは,コンピュータ名やプライマリDNSサフィックスを変更することができなくなる(Fig.8-3の[ネットワークID]パネルで[プロパティ]ボタンが無効になる)。ドメインコントローラではなく,DNSサーバーとしてのみ構成されている場合は,変更が可能である。今回の事例のようにドメインコントローラとMicrosoft DNSを同じコンピュータに実装しようとしている場合は, 指定されているコンピュータ名に誤りがないかどうかを,この段階で併せて確認しておきたい。

 プライマリDNSサフィックスを設定する場合,あるいはコンピュータ名の設定を確認または変更する場合には,[コントロールパネル]の[システム]を実行したときに表示される[システム]ダイアログボックスの[ネットワークID]パネルで[プロパティ]ボタンを押し,[識別の変更]ダイアログボックスを表示する。このダイアログボックスの[コンピュータ名]に設定されている名前が,ホスト名とコンピュータ名に共通して利用される。プライマリDNSサフィックスを設定するには,[識別の変更]ダイアログボックスの[詳細]ボタンを押して[DNSサフィックスとNetBIOSコンピュータ名]ダイアログボックスを表示し,[このコンピュータのプライマリDNSサフィックス]に該当するドメイン名を指定する。Fig.8-1で示した事例の場合,DNSサーバーのホスト名はAZ3なので,[コンピュータ名]には“AZ3”を,ドメイン名にはactive.dsl.local.を使用するので,[このコンピュータのプライマリDNSサフィックス]には“active.dsl.local.”を,それぞれ指定する。

Fig.8-3 コンピュータ名とプライマリDNSサフィックスの設定(クリックで拡大可能)
fig.8-3

 次に,TCP/IPのプロパティを設定する。[コントロールパネル]から[ネットワークとダイヤルアップ接続]を実行し,目的の接続のプロパティを表示する。そして,[プロトコル]パネルを開き,[インターネットプロトコル(TCP/IP)]を選択して[プロパティ]ボタンを押すと,[インターネット接続のプロパティ]ダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスで,そのコンピュータのIPアドレスと,DNSサーバーのIPアドレスを指定する。DNSサーバーとして運用するコンピュータには,必ず固定されたIPアドレスを割り当てなければならない。DHCPなどで動的にIPアドレスが割り当てられている場合は,Microsoft DNSを導入することはできないので注意してほしい。この事例では,192.168.1.100を使用する。DNSサーバーのIPアドレスには,自分自身のIPアドレスを指定すればよい。最後に,[詳細設定]ボタンを押して[DNS]パネルを開き,[この接続のアドレスをDNSに登録する]を有効にする。このオプションを有効にすると,そのコンピュータはDynamic DNSを利用して自分が使用するリソースレコードをDNSに登録しようとする。この事例では,ドメインコントローラとDNSを同じコンピュータに実装するため,DNSにリソースレコードを登録する必要がある。

Fig.8-4 TCP/IPのプロパティの設定(クリックで拡大可能)
fig.8-4

 以上のように設定が完了したら,その内容が正しいかどうかを確認するために,IPCONFIGユーティリティを使用する。コマンドプロンプトから“IPCONFIG /all”を実行し,Host Name,Primary DNS Suffix,IP Addressの3つが正しく設定されていることを確認してほしい。

 
C:\> IPCONFIG /all

Windows 2000 IP Configuration

        Host Name . . . . . . . . . . . . : AZ3
        Primary DNS Suffix  . . . . . . . : active.dsl.local
        Node Type . . . . . . . . . . . . : Broadcast
        IP Routing Enabled. . . . . . . . : No
        WINS Proxy Enabled. . . . . . . . : No
        DNS Suffix Search List. . . . . . : active.dsl.local

Ethernet adapter ローカル エリア接続:

        Connection-specific DNS Suffix  . :
        Description . . . . . . . . . . . : D-Link DFE-500TX PCI 
                                            Fast Ethernet Adapter (Rev B/C)
        Physical Address. . . . . . . . . : xx-xx-xx-xx-xx-xx
        DHCP Enabled. . . . . . . . . . . : No
        IP Address. . . . . . . . . . . . : 192.168.1.100
        Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.0
        Default Gateway . . . . . . . . . :
        DNS Servers . . . . . . . . . . . : 192.168.1.100
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