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head1.gif 4.9 その他の機能

 以上で説明してきた以外にも,Windows 2000 Serverには,さまざまな新機能が搭載されている。ここでは,ファイルシステムや記憶領域に関連するものに絞り,その概要を解説しておくことにしよう。

head2.gif 4.9.1 リモート記憶域

 ディスク上に保存されているファイルのうち,実際には滅多にアクセスしないものがかなりあるはずだ。このようなファイルがディスク容量を圧迫するのは,無駄なようにも思える。しかし,だからといって外部メディアだけに保存しておくと,いざそのファイルが必要になったときに見つからなかったり,サーバー上のファイルであれば管理者がわざわざコピーしなければならなかったりと,使い勝手が悪くなってしまう。

 Windows 2000 Serverでは,「リモート記憶域サービス」と呼ばれる仕組みを利用することで,このようなファイルの管理を容易にしている。このサービスを利用すると,NTFS5.0のボリューム上に存在するファイルのうち,一定期間にわたってアクセスがないものは自動的にテープドライブに退避され,その分のディスク領域が解放される。

 テープに移されたファイルも,ユーザーからはディスク上のファイルと同じように見える。ユーザーがそのファイルにアクセスすると,今度は自動的にテープ上からディスク上へとファイルが復元される。つまり,ユーザーから見ると,リモート記憶域に存在するファイルも,ディスク上に存在するファイルも,まったく透過的に扱うことができるのである。

 なお,リモート記憶域の機能を使用するには,Windows 2000 Serverのコンポーネントである[リモート記憶域]を導入しておかなければならない。必要に応じて,[コントロールパネル]の[アプリケーションの追加と削除]で[リモート記憶域]コンポーネントを導入してほしい。

head2.gif 4.9.2 スパースファイル

 スパース(sparse)とは,「まばらな」とか「稀薄な」という意味の単語である。アプリケーションソフトのなかには,実際のデータ量にかかわらず,一定のディスク領域をあらかじめ確保するようなものもある。たとえば,ファイルサイズは100Mバイトもあるのに,実際には先頭の64Kバイトしか使用していない――というようなファイルがこれにあたる。このように,ファイル全体に対して実データがまばらにしか存在していないファイルを「スパースファイル」と呼ぶのである。

 従来のNTFSでは,たとえ実データが少なくとも,100Mバイトの領域を必要とするファイルであれば,素直に100Mバイトの容量を消費していた。しかし,NTFS5.0では,実際に使用しているブロックのみを消費する。これにより,ディスクスペースが有効に活用できるようになった。

head2.gif 4.9.3 DLT(Distributed Link-Tracking)

 従来,Wordファイル中にExcelシートを貼り付けたOLEリンクや,ファイルへのショートカットなどを作成した場合,リンク先の実ファイルが移動されると,実ファイルが見つからなくてリンクが損なわれてしまうことがあった。

 Windows 2000では,このような事態を防ぐために,Distributed Link-Tracking(DLT)というサービスが提供されている。このサービスを用いると,ドメイン内のNTFSボリューム中で移動されたファイルを追跡できるようになる。これにより,ファイルがほかのドライブやほかのコンピュータに移動されても,リンクが失われることはなくなる。

 なお,このサービスはWindows 2000 Serverをインストールすると,デフォルトで稼動している。もしサービスを停止させたければ,[スタート]メニューから[プログラム]−[管理ツール]−[コンピュータの管理]を選択し,[コンピュータの管理]ツールを起動させ,[サービスとアプリケーション]−[サービス]を選択して[Distributed Link-Tracking Server]と[Distributed Link-Tracking Client]を停止させればよい([Distributed Link-Tracking Server]はドメインコントローラでのみ稼動している)。

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