5.1 ルーティングサービス
Windows 2000のルーティングサービスは,静的ルーティングと動的ルーティングの2種類をサポートしている。データグラムを送信するまえに送信経路を決定するのが静的ルーティングであり,ネットワークからネットワークにデータグラムを渡すときに動的に送信経路を決定するのが動的ルーティング(または適応型ルーティング)である。
Windows 2000では,ユニキャストルーティングプロトコルの1つであるOSPF(Open Shortest Path First)およびマルチキャストのグループ情報交換プロトコルであるIGMP(Internet Group Management Protocol)がサポートされるようになっている。これにより,ネットワークでWindows 2000ルーティングサービスを利用する際の選択肢が増している。ここでは,新しくサポートされるようになったルーティングプロトコルを中心に説明してゆく。
5.1.1 静的ルーティングと動的ルーティング
静的ルーティングは,ネットワーク構成が変更されるたびにネットワーク管理者が手作業で設定を変更しなければならないため,設定ミスが発生しやすいという欠点がある。
それに対して動的ルーティングは,ネットワーク構成が変更されるのに応じて,ルーターが自動的に構成情報を更新するので,管理者の負担は軽くなり,間違いも少なくなる。しかし半面,動的ルーティングの場合には,構成情報を各ルーターに通知するためのオーバーヘッドとネットワークトラフィックが生じることに注意してもらいたい。
Table 5-1 静的ルーティングと動的ルーティング
静的ルーティング | 動的ルーティング |
ルーティングテーブルは手作業で構築され,更新される | ルーティングテーブルはルーティングプロトコルによって構築され,保守される |
静的ルータはインターネットワーク中の変更を感知しない | 動的ルータはインターネットワーク中の変更を感知できる |
各ルーティングテーブルエントリは無限の生存期間を持つ | 学習したルーティングテーブルエントリは有限の生存期間を持つ |
フォルトトレラントではない,スケーラブルではない | フォルトトレラントに構成でき,スケーラブルである |
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