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head2.gif 5.1.2 ルーティングプロトコル
 動的ルーティングを構成しているときにデータグラムを宛先に届けるために経路を決定するには,距離やコストについての基礎情報と,実際にその経路を選択したときに発生するコストを算出する必要がある。一口にコストといっても,そのなかには,ホップ数,遅延時間,通信料金,信頼性など,さまざまな要素がある。ルーターは,これらの要素を元にして,経路を制御することになる。

 経路を決定する要素となるルーティング情報は,各ルーターに格納され,管理される。各ルーターが管理しているこれらのルーティング情報は,各ルーター間で交換される。この情報交換の手続きを,「ルーティングプロトコル」と呼ぶ。

 パケットには,1台の特定のホストにのみ転送されるユニキャストパケットと,複数のホストまたは特定のグループに転送されるマルチキャストパケットがあり,このパケットの種類に合わせて異なるルーテキングプロトコルが利用される。ユニキャストパケットのルーティングプロトコルは,一般的に同一の管理ポリシーが適用される領域(Autonomous System:AS)で利用される(Interior Gateway Protocol)と,インターネットサービスプロバイダ(ISP)間のように異なる管理ポリシーが適用されている領域(AS)間で利用されるEGP(Exterior Gateway Protocol)に大別されている。IGPとして代表的なルーティングプロトコルはRIP(Routing Information Protocol)およびOSPF(Open Shortest Path First)である。EGPとして代表的なルーティングプロトコルはBGP(Border Gataway Protocol)である。基本的に,規模の小さいネットワークにRIPが,中規模から大規模なネットワークにOSPFが,それより大規模なインターネットワークにBGPが,それぞれ利用される。これに対して,マルチキャストパケットのルーティングプロトコルには,このような区別はないようである。

 また,ルーティングプロトコルは,アルゴリズムで分類される場合もある。これには大別して,距離ベクトル型ルーティング,リンク状態型ルーティング,パスベクトル型ルーティングの3種類がある。距離ベクトル型ルーティングプロトコルの代表はRIPであり,リンク状態型ルーティングプロトコルの代表例はOSPF,パスベクトル型ルーティングプロトコルの代表例がBGPである。

 Windows 2000は,Windows NT 4.0でサポートされていたRIP for IP,RIP for IPXに加え,OSPFにも対応している。したがって,Windows 2000のルーティングサービスは,小規模から大規模なネットワークまで幅広く利用できるようになっている。

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