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head2.gif 5.1.3 DHCPリレーエージェント(DHCP Relay Agent for IP)
 TCP/IPによるインターネットワーキングを構成するすべてのホストには,一意なコンピュータ名とIPアドレスを設定する必要がある。これらの情報によって,ネットワーク全体でホストとホストが存在するサブネットワークの両方を識別しているからである。しかし,この仕様のため,TCP/IPネットワークを構築するには,ネットワーク管理者が各ホストに一意なコンピュータ名とIPアドレスを割り当て,それらを管理しなければならなかった。

 DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を利用すると,ネットワーク管理者はTCP/IPの構成パラメータを多数のホストに手作業で割り当てる必要がなくなる。DHCPサーバーは,ホストに割り当てるIPアドレスと関連情報を集中管理し,ホストがネットワークに接続されたときに,自動的にそれらの情報を割り当てる機能を搭載している。

 DHCPサーバーが同じサブネット上に存在しない場合,DHCPサーバーが存在するネットワークにアクセスできなければ,クライアントはTCP/IPの構成パラメータを取得することができない。一般的にDHCPクライアントは,DHCPサーバーのIPアドレスを知らないので,DHCPDiscoverメッセージにDHCPサーバーマルチキャストアドレスを指定し,DHCPサーバーを探索する。しかし,DHCPサーバーマルチキャストアドレスはローカルなリンクスコープしか持たないので,異なるネットワークに存在するDHCPサーバーにはDHCPDiscoverメッセージが届かない。そこで,リモートのDHCPサーバーに対してDHCPDiscoverメッセージを中継する仕組みが必要となる。これが,DHPリレーエージェント(DHCP Relay Agent for IP)である。Windows 2000をルーターとして構成した場合に,DHCPリレーエージェントを稼動させることで,リモートのDHCPサーバーに対してDHCPDiscoverメッセージを中継できるようになる。

Fig.5-7 DHCPリレーエージェントの動作概念
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 Windows 2000のDHCPリレーエージェントの構成は,それほど難しいことではない。[ルーティングとリモートアクセス]管理ツールを起動し,コンソールツリーの[IPルーティング]の配下にある[全般]を右クリックし,表示されたメニューから[新しいルーティングプロトコル]を選択する。[新しいルーティングプロトコル]ダイアログボックスが表示されるので,[DHCPリレーエージェント]を選択する。あとは,コンソールツリーに表示された[DHCPリレーエージェント]を右クリックし,表示されたメニューから[新しいインタフェース]を選択して[DHCPリレーエージェントの新しいインタフェース]ウィザードを実行する。ルーティングプロトコルを動作させるインタフェースを選択し,[OK]ボタンを押す。[DHCPリレーエージェントのプロパティ]ダイアログボックスが表示されるので,必要があれば,DHCPパケットを中継するか否か,ホップ数,ブートの閾値を,それぞれ設定する。

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