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5.1.2 ルーティングプロトコル
●IGMP(Internet Group Management Protocol)

 Windows 2000がサポートしているIGMPは,RFC 2236に規定されているバージョン2である。ルーターがマルチキャストパケットを転送する場合,マルチキャストパケットを受信するグループに参加しているホストが転送先のネットワークに存在するかどうかが問題となる。もし,マルチキャストグループに参加しているホストが存在しないことをルーターが判断できなければ,ネットワークに不必要なマルチキャストパケットを送信してしまうことになる。

 このような問題を解決するのが,IGMPである。このプロトコルは,マルチキャストルーティングを採用している隣接するマルチキャストルーターに対して,どのホストがどのマルチキャストグループに属しているかを通知する。

Fig.5-6 IGMPの動作概念
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 Windows 2000のIGMPでは,(1) グループメンバーに対してホストが参加および脱退したときにメッセージを送信する機能,(2) グループメンバーの関係をホストに照会する機能,(3) IGMPホストやIGMPルーターとして動作するプロキシ機能,をサポートしている。ただしWindows 2000では,RFC 2362で提唱されているPIM(Protocol Independent Multicast Routing)やRFCRFC 1075で提唱されているDVMRP(Distance Vector Multicast Routing Protocol)などのルーティングプロトコルはサポートしていない。つまり,Windows 2000のルーティングサービスは完全なマルチキャストルーティングをサポートしているわけではないので,必要であればマルチキャストルーティングをサポートしているルーターを使用する必要がある。ネットワークでマルチキャストを転送する場合でWindows 2000のルーティングサービスを適用できるのは,次のような場面である。

  • ルーティングサービスがサポートしているネットワーク内のグループメンバーの情報を,マルチキャストルーティングプロトコルをサポートしているルーターに提供する場合
  • イントラネット内の唯一のルーターとして用いる場合
  • イントラネットとインターネットとを接続する唯一のルーターとして用いる場合

 IGMPを使用するように構成する場合も,ほかのルーティングプロトコルを構成する場合と同じように,[ルーティングとリモートアクセス]管理ツールを起動し,コンソールツリーの[IPルーティング]の配下にある[全般]パネルを右クリックし,表示されるメニューから[新しいルーティングプロトコル]を選択すればよい。コンソールツリーの[IPルーティング]の配下に[IGMP]という項目が作成されるので,これを右クリックし,表示されるメニューから[新しいインタフェース]を選択する。[IGMPバージョン2,ルーターとプロキシの新しいインタフェース]ダイアログボックスが表示されるので,宛先ルーターが存在しているネットワークと同じセグメントに接続されているインタフェースを選択する。[OK]ボタンを押すと,[IGMPプロパティ]ダイアログボックスが表示されるので,必要があれば,IGMPの有効化,モード,IGMPプロトコルバージョンを設定すればよい(一般的にデフォルトの設定でかまわない)。IPマルチキャストアドレスは,224.0.0.0から239.255.255.255のクラスDが予約されていて,これらが利用される。

注意 DVMRPはRIPと同じ距離ベクトル型のマルチキャストルーティングプロトコルであり,PIMはユニキャストルーティングプロトコルに依存しないプロトコル非依存のマルチキャストルーティングプロトコルである。そのほかにも,OSPFと同じリンク状態型マルチキャストルーティングプロトコルとして,MOSPF(Multicast OSPF)がある。

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