検索
連載

SAP製品に関する3つの疑問を解くトレンド解説(8)(3/3 ページ)

SAPジャパンがR/3の後継製品「mySAP ERP」を7月5日に出荷開始する。既存ユーザー企業・未導入企業問わず、情報マネージャなら誰もが気になるmySAP ERPの導入コストや開発生産性、保守サービスについて聞いた。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

保守期間は8年で終了なのか?

 mySAP ERPの製品発表時、「標準で提供されるサポート期間は8年」と公表された。しかしこれは「8年たったらサポートが終わる」という意味ではない。「mySAP ERPのみならず、既存のR/3 EnterpriseでもR/3 4.6Cでも、使い続ける限り保守サービスは提供します」(玉木氏)という。

 具体的にはどういうことか。ここで、最初に述べた“契約”というコンセプトが再び出てくる。製品導入時に、「製品に対して価格付けをするのではなく、『こういうことを実現したい』というニーズに関し、SAPが提供するソリューションに対してライセンス契約を結ぶ」のと同じように、保守に関しても「そのソリューションを使い続ける限り」以下のようなサービスを提供する、という契約になっている。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 この保守サービスについては、バージョンを問わずSAP製品のユーザーである限り有効だ。では何が「8年間」なのかといえば、「製品のライフサイクルとしての保守期間が8年であり、上記の契約内容でいうとSPが提供されなくなるということです。8年間が製品のメインストリーム期間であり、その間にバグが発生した場合は当社の方で修正プログラムを提供します。8年経過後、何か不具合が発生した際には、もちろん対処法を提供しますが、SPとして新たに修正プログラムを開発することはないという意味です」(玉木氏)。

 この保守契約でユーザー企業にとって最も大きなメリットをもたらすのが、4番目の「新製品の使用権利」だ。これは契約の内容から、前々バージョンのR/3

4.6Cやその前の4.6B、3.1といった古いバージョンを使っていた企業もmy SAP ERPに移行する権利を有することになる。逆に新規ユーザーにとっても、SAP製品を使い続ける限り、保守料の範囲内で上記のサービスと今後の新製品へのアップグレードが永遠に保証されるわけだ。

 アップグレードの大きなメリットとしては、前述した最新技術への対応や製品の柔軟性のほか、「以前は個別カスタマイズで対応した部分も、製品の標準機能として実装されてきているので、アップグレードを進めることで余分なプログラムを廃棄できます。これにより、年々運用負荷もコストも軽減されるわけです」(玉木氏)という。ちなみにアップグレードは定期的に繰り返すほど、作業負荷が減る。例えばWindowsのアップデートをまとめてやると時間がかかるが、こまめに更新しておけば短時間で済むのと同じ理屈だ。

 以上、mySAP ERPの導入コスト、カスタマイズの自由度、保守サービスについて詳しく見てきた。最後に、「これまでSAP社が提唱してきた導入方法論が、mySAP

ERPによってどのように変わるのか」という問いを投げかけてみた。玉木氏は「これまでERPの導入というと、ビッグバンで一気呵成(かせい)に入れないといけないといわれてきました。しかしオープン技術へのネイティブ対応などにより、既存のレガシーシステムと併用しながら動かすことが可能になり、導入負荷が大幅に削減されると予想できます。“一枚岩”といわれていた製品のアーキテクチャが柔軟になり、併用や移行、カスタマイズ作業が緩和されました。こうしたことから、プロジェクトの運営方法も導入方法論も柔軟になっていくでしょう」と答えてくれた。

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る