続・日本版SOX法プロジェクトの進め方教えます:SOX法コンサルタントの憂い(5)(3/3 ページ)
前回、日本版SOX法対応におけるプロジェクトの進め方や内部統制の文書化の方法などを紹介した。今回は、日本版SOX法における「有効性の評価」と「文書化の全社展開」について紹介する。
全対象プロセスでの文書化とトップダウン・アプローチ
内部統制の文書化は、「トップダウン・アプローチ」と呼ばれる方法で行います。
すなわち、すべての内部統制を平等・均質に扱うのではなく、全社的内部統制をまず完成させて、次に、決算・財務報告プロセスを文書化します。
この2つについては、原則はすべての拠点・子会社も対象になります。3番目に、決算・財務報告以外の重要なプロセスに焦点を当てるといった方法です。重要でないプロセスはやらなくてもいいし、次年度以降の課題としてもいいのです。ここは、会社の判断です。
決算・財務報告以外の業務プロセスの中も、同様のアプローチを取ります。重要な業務、重要な取引に焦点を当てます。勘定科目としては、製造・販売業など商品を取り扱う会社では「売上、売掛金、棚卸資産」が重要な科目となります。そのほかの業務プロセスでは、リスクの高い業務・取引が焦点になります。例えば、デリバティブ取引や、見積もりを含んだ値引きや引当金の計上などです。
全参加メンバーへの研修と文書化
こういったアプローチによって、プロジェクトに参加している全部門で文書化を進めます。
文書化は、前回パイロットチームで行った方法に、必要があれば改善を施したうえで関係する全部門に拡大します。
初めは本社内で文書化を行い、その文書を標準にして「文書化のひな型」を作り、すべての拠点・子会社に展開します。これにより、グループ全社での業務の標準化に寄与することができますし、拠点・子会社がゼロから文書化をやる必要もなくなります。社内に蓄積したノウハウは利用しなければ作業を二重にやることにもなりかねませんから、文書化業務も効率化を考えましょう。
そして、本社内、工場などの拠点・子会社それぞれの展開時に、プロジェクトではすべての実務担当メンバーに書式や記入のノウハウなどの研修を行います。
次回は、「IT統制」「内部統制の欠陥の是正」と「内部統制報告書」の話をします。
Profile
鈴木 英夫(すずき ひでお)
慶應義塾大学経済学部卒業、外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務める。
2004年から、同社のSOX法対応プロジェクトコーディネータ。現在は、フリーのSOX法・日本版SOX法コンサルタント。プランナー・オブ・リスクマネジメント、内部監査士。
著書:「図解日本版SOX法」(同友館、共著)
近著:「日本版SOX法実践コーチ」(同友館、共著)
著書:「図解日本版SOX法」(同友館、共著)
近著:「日本版SOX法実践コーチ」(同友館、共著)
連絡先: ai-risk330@jttk.zaq.ne.jp
Webサイト:http://spinel3.myftp.org/hideo/ai-risk.htm
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