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「モバイル放送」を追いかけた2500キロ――『ワレ到着セリ』4日間同行レポート(後編)(1/4 ページ)

福岡に到着したかと思ったら、その12時間後には来た道を戻るために出発である。何をやってんのかというツッコミもあろうが、当然答えは「モバイル放送を聴いている」ということになる。

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海でも山でも「モバイル放送」

 3日目は朝から快晴である。この時期、そろそろ梅雨に入ってもおかしくはないのだが、雨の気配はない。TVの天気概況を見ると、どうやら梅雨前線は日本列島の下のほうに下がっているようだ。

 もっとも、Sバンドを受信に利用するモバイル放送は、CS/BS放送のような高い周波数帯(Kuバンド)を使うサービスと違って、降雨減衰の影響を受けにくいので、基本的には心配する必要はない。

 「基本的に」というのは、衛星へのアップリンクや各地にあるギャップフィラーへはKuバンドを使用しているので、こちらは降雨の影響がゼロというわけにはいかないからだ。しかしながら、こうした拠点で使うのは家庭用のパラボラアンテナとは違って大口径かつ高感度な受信設備のはずなので、かなりの大雨・大雪でない限り問題ないだろう。

 午前9時5分にはホテルを出発した。今日からは東へ向かうことになる。予定では中国自動車道を通って京都には午後8時頃到着することになっている。

 ホテルを出て博多駅周辺をぐるっと回ったが、やはり駅周辺は高層ビルが多いため、受信はかなり厳しい状況である。京都や大阪で経験したように、これぐらいの都市になるとビルのすき間から“斜め48度の空が見えるだけ”という場所も多い。ギャップフィラーの設置は必須であろう。


駅前周辺にはビルが林立している

 福岡ドームに立ち寄ってから、海の中道(うみのなかみち)方面へ行ってみる。海の中道とは、博多湾と玄海灘を隔てた半島にある「海の中道駅」を中心としたエリアのことで、ホテルや国営公園などがあり、この一帯のリゾート地としても有名である。

 そのネーミングからしてミクロネシアのマジュロ環礁のようなものをイメージしていたが、まるで違った。しかし、周りにあまり建物もない海の近くの道路を走るのはやはり気持ちのよいものだ。こういう時にはモバイル放送のチャンネルを米国のラジオ局に合わせておけば、気分だけはカリフォルニアである。

 米国のラジオと書いたが、具体的な名称はまだ公にはできないものの、モバイル放送では米国のラジオ局をリアルタイムで放送する予定である。これは、日本でも他に例がない試みのようだ。

 リアルタイム放送だから、その場で電話や電子メールを使って好きな曲をリクエストし、放送されるのを聞くことができるかもしれない。何となく愉快な話である。


南国の海岸という風情だが、実はうっすらと福岡ドームが対岸に見える。ここでもMBSATからの電波は静かに降り注いでいる

 海の中道海浜公園内にある西戸崎でちょいと撮影をしたあとは、九州自動車道の古賀ICまで一般道を走る。このルートはあまり障害物もないので快適に受信できた。

 正午前には昨日と同じように関門トンネルをくぐり、九州とはお別れ。九州には20時間ほどしか滞在していなかったことになる(ちょっと悲しい)。

 この日のメインテーマは「山道のほうはどうか」というものだ。

 モバイル放送で音楽を聞きながらワインディングロードを疾るというシーンはイカすはずだが、音が途切れたのではなんともしまらない。ならば実際に山道で試して見るべし……ということで、山口県の徳地ICというところで高速から降り、一般道を走ってみた。

 カーナビと道路地図で適当に「あたり」をつけて行ってみたのだが、さして広くはない谷間に棚田が展開される、実に日本の原風景的ともいえるような道だった。

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