「DVD-RへのVRモード記録」が普及すると考える理由(3/3 ページ)
DVD-VR形式の記録されたDVD-Rメディアは、現状では事実上、自己録再に近い。だが、ユーザーの利便性などを考えると、今後のHDD/DVDレコーダーにおいて、標準搭載機能になる可能性が高いのではないだろうか。
だからよほどのことがない限り、サポートされる可能性は低いだろう。このため、VRモードで記録されたDVD-Rの再生は、当分の間、その記録をサポートした機器でのみ行える、事実上の“自己録再”になる。
また、PCで再生する場合には、その再生に対応したソフトが必要になる。筆者が知る限り、現時点ではサイバーリンクのPowerDVDが、近く正式対応のアナウンスをする予定になっている。一方、インタービデオのWinDVDは、対応するかどうか未定のようだ。なお、メーカーのサポート対象外になるが、PowerDVDでは、現行バージョンでVRモードで記録されたDVD-Rを再生できることを筆者は確認している(コピーワンス番組も再生できた)。
第二に、VRモードでDVD-Rに記録するときは、追記型ディスク特有の制限事項があるという点にも注意が必要だ。
例えば、VRモードで記録したDVD-Rメディアでも、CMカットなどの編集機能を使用できるが、不要なシーンを削除したからといって、DVD-RAMやDVD-RWのように空き容量が“増加”するわけではない。基本的には、何らかの作業を行うたびに、使用できる記録容量が減っていくことになる。
DVD-RにVRモード記録は普及する可能性が高い
地上デジタル放送は、22日から、関東エリアの受信可能地域が拡大するなど、今後も、どんどん増加する。記録型DVDからHDDへの逆ムーブが行えない以上、その保存を考えると、「DVD-Rに対してVRモードで記録したい」というユーザーの需要が増加しても全く不思議ではない。この機能をサポートすることで、コピーワンス番組保存時のメディアの選択肢が増え、ユーザーは、より便利にHDD/DVDレコーダーを使用できるからだ。
また、ユーザーの立場から見れば、記録モードとメディアの関係が分かりやすくなるというメリットもある。
メディア | VRモード | Videoモード |
---|---|---|
DVD-R | ×→○ | ○ |
DVD-RW | ○ | ○ |
DVD-RAM | ○ | × |
例えば、DVD-R/RWレコーダーでは、DVD-RとDVD-RWの両方のメディアで、VideoモードとVRモードが使用できるようになる。つまり、これまでは、Videoモードで録画するときは、DVD-RまたはDVD-RW。VRモードで録画するときはDVD-RW、というようにメディアの特性と録画モードをユーザーが覚えなければならなかった。
しかし、DVD-RとDVD-RWの両方で同じ録画モードが使用できれば、メディアとの関係をユーザーが覚える必要はない。VideoモードとVRモードという二つの録画モードの特性のみを理解すれば、レコーダーを使えるようになるのである。
また、現在DVDフォーラムで策定が進んでいる記録容量8.5GBの2層式DVD-R「Dula Layer DVD-R」もも見逃せない。コピーワンス番組の保存を考えれば、やはり記録容量は大きい方が便利だからだ。こうしたメディアが発売されれば、VRモードで記録できるメリットはさらに大きくなるだろう。
VRモードで記録されたDVD-Rは、RWPPIにおいて10月にも、その再生互換性をチェックする「ラウンドロビンテスト」が始まるという情報もあり、今後、この機能をサポートした機器が増えていく可能性は高いと筆者は考えている。
また、メディアメーカーも、すでに国内大手2社がCPRM対応メディアを発表済みで、台湾メーカーでも数社がCPRM対応メディアを発売するという情報もある。今後、供給メーカーも増加する可能性が高い。
DVD-Rメディアでは、しばらくの間、データ用、録画用、CPRM対応の録画用、の3種類のメディアが販売されることになるが、CPRM対応DVD-Rメディアの需要が増加すれば、いずれデータ用とCPRM対応の録画用の2種類に収束していくだろう。
関連記事
- インタビュー:「メディアは安い方がいいでしょう?」――東芝がDVD-R(VR)を採用したワケ
東芝が発表した新型HDD/DVDレコーダー「RD-X5」の目玉機能の一つが、業界初となる“VRモード記録におけるDVD-Rメディアのサポート”だ。この機能を他社に先駆けて搭載する意義、そして、その位置付けを、RD-Styleシリーズの生みの親としても知られる同社の片岡秀夫氏に伺った。 - 東芝、DVD-R VRモードに対応したハイエンドDVD/HDDレコーダー「RD-X5」
東芝はRD-X4の後継になるハイエンドレコーダー「RD-X5」を発売する。「W録」や「WEPG」に加えて、DVD-RにおけるVRモードをサポート。DVD-Rへのコピーワンス放送の録画に対応した - マクセル、CPRM対応DVD-Rを発売
CPRM対応DVD-Rの登場で、これまで-RW/RAMに限られていたコピーワンス番組の録画がDVD-Rで行えるようになる。 - 「コピーワンスコンテンツ」がもたらす弊害
デジタル放送が普及していくことで、今後はコピーワンスコンテンツが急増する。これは、デジタルレコーダーに新しい機能を実装する必要をせまるものといえるだろう。 - これから増えるコピーコントロール「CPRM/CPPM」――その仕組みはどうなっている?
DVD規格で採用されている著作権保護技術「CPPM/CPRM」は、メディアに記録されたID番号を使用し、さまざまな制御を実現できる。今後はこれと似たような仕組みが他のデジタルコンテンツでも採用されていく可能性が高い。では、その仕組みと特徴はどのようなものなのだろうか
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.