もう、すぐそばにある家電ネットワーク:CEATEC JAPAN 2004(2/2 ページ)
ホームネットワークは、主に白物家電を対象とする「制御系」と映像伝送などを含む「AV系」の2つに分かれる。「CEATEC」におけるAV系のトピックとしてはDLNAの接続検証などが挙げられるが、白物家電の制御系でも、いくつかの興味深い展示や発表があった。
CEATEC JAPANでは、エコーネットに関する重要なデモンストレーションと、ささやかな発表があった。デモンストレーションは、主要家電メーカー7社が参加したエアコンの接続検証。松下電器産業の「くらしステーション」にエコーネットルータ機能を加えたものを使用し、携帯電話やホームゲートウェイのインタフェース画面から各社のエアコンを操作していた。
「ここまで多くのメーカーが参加した相互運用性のデモは初めて。参加した7社のシェアを合わせれば、日本のエアコンの9割以上を占めることになり、その意義は大きい。しかも展示したエアコンのうち、東芝、日立、松下の3社に関しては既に市場にあるものだ」(エコーネットコンソーシアムの成田隆保運営委員長)。
一方、ささやかな発表というのは、エコーネット規格で無線LAN(IEEE 802.11/11b)をサポートしたこと。三菱電機などは「iReady」発表の際に無線LANの使用を明らかにしていたが、これで正式に規格化されることになった。
実際、枯れた技術でコストも安いIEEE 802.11を望む声は多かったようで、すぐ横に展示していたエコーネットの「ミドルウェアアダプタ」では、シャープ、三菱電機、三洋電機の3社がIEEE 802.11b無線LANを採用している。
展示されていた「ミドルウェアアダプタ」は、東芝がBluetooth、シャープ、三菱電機、三洋電機の3社がIEEE 802.11b無線LANを採用。三洋電機のものは、前述の「ELiFES」で使用しているものだ。ただし、日立と松下のアダプタはなく、事実上「iReady」陣営だけ
ミドルウェアアダプタは、家電本体からネットワーク装置を切り離し、エコーネット対応製品の価格を引き下げるというものだ。家電本体には低コストの接続端子と、その家電に適したアプリケーションなど最低限の準備だけをしておき、コストアップにつながる通信機器部分を別売の“アダプタ”にする。
「最初から通信可能な状態で販売するとそれなりのコストアップになるが、アダプタの接続端子だけを持つ“エコーネットレディ機器”なら通常の家電と大差ない。レディ機器を増やしておけば、今はホームネットワークが必要ない人でも、欲しくなったときにアダプタを購入するだけで対応できる」。
たとえば東芝「大静快」の場合、FEMINITYシリーズが登場した頃からアダプタ方式を採用しており、ラインアップも豊富た。「若干バージョンは異なるが、2年ほど前の製品から対応できている」という。
このアダプタ方式は、昨年末に発表された「iReady」の仕組みをエコーネット規格に盛り込んだものといえる。実際、会場に並んでいたアダプタはiReadyに参画した4社のものだけで、微妙な距離を置いている日立&松下連合は出品していないのが気にかかるところだ。
一方、iReadyを推進するメーカーの技術者に言わせれば、「エコーネットだけではまだ足りない」というのが正直な感想のようだ。「エアコンを例にあげると、エコーネットで制御できるのは“電源のオン・オフ”のほか、“モード設定”や“温度設定”などに限られている。しかし、各メーカーは空気清浄など独自機能を付加して競争力を高めているのが実情だろう」(三洋電機)。
とはいえ、7社のエアコンが1台の操作端末で動いているデモは、相互運用性の確保に向けて期待を抱かせるものだ。成田氏は、「普通の家庭では、家電はメーカーがバラバラというのが当たり前」と指摘したうえで、「エコーネットレディ機器を浸透させ、知らない間にメーカーを問わずに相互接続できるようにしておく。これは(普及に向けた)大きなキーポイントになるだろう」と話している。
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