“最終目的地”を選べる快適Blu-rayレコーダー〜シャープ「BD-HD100」:レビュー(5/5 ページ)
ソニー、松下電器産業に続いて発表された3つ目のBlu-rayレコーダーが、シャープの「BD-HD100」。HDDにハイビジョン映像をいったん記録してから、その後の保存方法を考えられる“ハイブリッドならでは”の魅力は本機にしかないものだ。
本機は、BDレコーダーとして初めてHDMI端子を装備した。ハイビジョンにおけるデジタル接続の優位性は高く、解像感や像のシャープさという面で“一皮むけた”ような画質を得られる。
手元にあった三洋電機の液晶プロジェクター「LP-Z3」と、ソニー「VPL-HS50」を繋いでみたところ、問題なく使用できた。中でもLP-Z3との組み合わせでは、本機のアップスケーラの方が優秀なようで、DVDの画質が向上する。I/P変換の精度も高く、コーミングや動きボケが少なく、クロマエラーもほとんど見受けられない。
ただし、本機のHDMI端子は、接続相手が厳密にHDMI仕様に準拠していない場合に高解像度の出力が行われない仕様となっているので注意したい。たとえばDVI端子付きのテレビやプロジェクターと接続する場合、変換ケーブルで接続することは可能(HDMIとDVIの映像伝送方式は同一)だが、接続時のネゴシエーションで交換する情報がやや異なる。このため、本機は接続相手が正常に720Pなどの解像度をサポートしているかどうかが判別できず、ハイビジョンも480Pにダウンコンバート出力されてしまう。
この場合、ビクターのD-VHSデッキでは設定メニューから強制的に出力解像度を選択できるようになっている。BD-HD100にも同じようなメニューは存在するが、強制切り替えしようとすると、接続相手がその解像度をサポートしていない旨が表示され、表示は480Pのままになってしまう。
シャープによると、接続相手がHDMIではない場合、たとえHDCPに対応していることがわかっていても、著作権保護の絡みから安全のため高解像出力を行わないように設計したという。やや納得しにくい結論だが、DVI端子付きの機器に関してもひとつひとつ接続性を確認し、ファームウェアアップデートで将来的に対応していきたいとのことだ。
このほか、外部接続機器への入力切り替えのレスポンスが悪い、BD/HDD/DVDの切り替えを意識しながら使わなければならない、といった従来機にもあった問題は解決されておらず、BDに再エンコードでSD出力するときにAAC 5.1チャンネル音声をそのまま引き継ぐことはできない(BDZ-S77は可能。映像がSDでも構わない音楽ライブなどで有効な録画設定)。
さらに、外部i.LINK機器でMPEG2-TSの再生が開始した時に自動的に入力が切り替わらない(手動で入力切り替えを行う必要がある)、HDD上でカット編集したハイビジョン映像をBDにムーブしたときカットした部分で別々のタイトルに分かれる、といった細かな不満もある。
これらにくわえ、2層メディア非対応、160GバイトというHDD容量といった部分と30万円を超える価格を鑑みての判断となるが、それらを考えても現時点でハイビジョンを録画するための道具として本機以上に使いやすい製品は見つからない。DV-HRDシリーズはアップデートで多数のバグや使いにくい仕様が改善された過去があり、本機にも期待していいはずだ。ハイビジョン録画を中心に考えるならば、選択肢として検討すべき製品だろう。
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