プラズマテレビの逆襲:麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(4/4 ページ)
液晶テレビに押され気味だったプラズマテレビだが、この秋商戦はプラズマ陣営が魅力的な新製品を投入した。逆襲に転じたプラズマテレビの魅力について、麻倉怜士氏が最新情報を交えながら語った。
――ところでフルHDに話を戻しますが、放送が実は問題ですね。
麻倉氏: そうなんですよ。実は1080iハイビジョン放送と一口にいっても、フルハイビジョンでない放送が多いんです。縦方向は確かに1080画素はあるのですが、実は横方向には、1920画素と1440画素の2つのオプションがあります。デジタル放送でいうと、BSのNHKのスタジオ番組はきちんと1920×1080の画素数で収録、生放送されているものが多いのですが、その他の民放BS局は1440×1080収録が多いです。特に地デジは転送レート的に厳しく、1440×1080を採らざるを得ません。
せっかく受信機側で、1920×1080のフルハイビジョン・ディスプレイを備えても、放送側では、1440×1080の「横方向四分の三・フル」が多いというのは、なんとも惜しいですね。
ぜひ、デジタル放送局には、ほんとうのフルの1920×1080で収録・放送することを、御願いしたいです。フルハイビジョンで活きるような高精細な映像による番組づくり、転送レートの向上……など、これから放送局がすべきことはたくさんありますね。
麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴
1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNのCD12、JBLのK2PROJEST/S9500など、世界最高の銘機を愛用している。音楽理論も専門分野。
現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。
著作
「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)――ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く
「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)――プレイステーションの開発物語
「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)――ソニーのネットワーク戦略
「DVD――12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)――DVDのメディア的、技術的分析
「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)――記録型DVDの未来を述べた
「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)――互換性重視の記録型DVDの展望
「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)――プラズマ・テレビの開発物語
「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)――新しいディスプレイデバイスの研究
「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)――シャープの鋭い商品開発のドキュメント
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