「香り」で安全運転? 次世代のドライビングアシスト:人とくるまのテクノロジー展
自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展」。インターネットやGPS、さらには「香り」を使った目に見えない情報で、安全なドライビングをサポートする技術が展示された。
5月23日、パシフィコ横浜で自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展」が開幕した。毎年行われてきた同展示会は今年で第16回目。車に関するさまざまな技術が紹介されるなかで、インターネットやGPSなどを利用した安全支援技術や、香りを応用して安全運転を促す技術などが展示された。
マツダは、車の速度や位置などの情報をインターネットを使い収集する「プローブ」機能を利用した安全運転支援システムを展示した。このシステムでは、急ブレーキが行われた道路ポイントをプローブ機能で専用センターに集計し、危険が予測される地域を分析した地図情報「ヒヤリハットマップ」を作成する。さらに、天候や時間帯などの条件変化も分析し、マップに反映させる。これをカーナビなどの車載システムに配信し、音声などでドライバーに注意を促す。
このヒヤリハットマップを提供するシステムについてはインターネットITS協議会と協力し開発。名古屋のプローブ情報を基にしたヒヤリハットマップを実際に作成し、実用化に向けて実験中だ。また、携帯電話の通信機能でヒヤリハットマップを受信する技術も展示された。危険地点に近づくと、電話機のバイブレーションで注意を呼びかける機能も備える。
富士重工業は、路面の凍結情報をプローブ機能で集計し分析する安全支援のプロジェクトについて展示。同社は、官学産が連携した「つるつる路面ナビゲーター(通称つるナビ)」プロジェクトに技術を提供している。車両のABS情報などを基に危険ポイントを割り出し、地図に反映させた。
また、「香り」を使った安全運転の支援も研究されている。香りがドライバーの精神状態にどんな影響を与えるかを研究し、運転中の精神状態を最適に保つ試みだ。これまで同社は、コンパクトカー「SUBARU R2」や「STELLA」のディーラーオプションとして車載フレグランス「SUBARUアロマティック・ブレイク」を販売してきた。今回はその技術を活かし、車載用の小型空気砲を用いた「香り掲示システム」を開発。将来的にはドライバーの精神状態を検知して、各種の香りを噴出するシステムに進化させるという。
デンソーは、カーナビ情報と連動してヘッドランプの配光をカーブに合わせる「ナビ協調AFS」技術を展示し、走行を体験できるシミュレータも用意した。ナビの道路情報を基に次のコーナーを予測し、コーナー進入前から配光を制御することが可能。従来の、ハンドリングと同調する配光制御システムが十分に対応できなかった、バンクの深いカーブなどで威力を発揮する。また、ナビの道路情報に誤りがあった時に、正しい配光をするためのアルゴリズムも研究中だ。
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