解像度だけで画質は語れない――新ハンディカムの目指した“バランス”(2/2 ページ)
ソニーがHDDおよびメモリースティックを搭載したハンディカム3機種をリリースした。1920×1080ピクセル記録は見送られたものの、100GバイトHDDによる長時間記録や動画記録にメモリースティックを採用した「HDR-CX7」など、見るべき部分の多い発表だ。詳しい話を聞いた。
撮影に関する性能はHDR-UX7と同等のため、新製品は小型化と記録メディアをに着目してブラッシュアップしたものと言える。同じイメージセンサーを採用した第2世代モデルという見方をすれば、消費者にとって安心感に繋がる可能性は高い。ただし、多くのユーザーが期待していたフルハイビジョン解像度(1920×1080ピクセル)の採用は残念ながら見送られている。
「たしかにフルハイビジョンは重要ですが、画質は1920か1440か、だけでは語れないものです。1920×1080ピクセルの解像度を持っていたとして、それをフルに発揮するにはイメージセンサーやレンズ、処理回路などカメラとしての基本性能が重要になるでしょう」
「その点、新ハンディカムではクリアビットCMOSセンサーの採用により、撮影時にはフルハイビジョン解像度の2.2倍にあたる2804×1602画素――つまり460万画素の信号を処理してハイビジョン映像を作り出しています。これはフルHD記録の他社製品と比較しても多い(2007年5月現在)数字。たしかに記録画素数は1440×1080ピクセルですが、実際の映像を見てもらえばわかるように、髪の毛1本1本まで高精細に撮影できる解像度を実現しています。もちろん、x.v.Colorにも対応しました」
「また、今回採用しているクリアビットCMOSセンサーは「HDR-UX7」と同じものですが、1/2.9型という大きなサイズで画素1つあたりの面積も広い上、画素を斜めに(45度回転)配列して効率よく光を集めることができます。さらに信号処理をくわえて、最低被写体照度は5ルクスを実現しました。“映像のきめ細かさ”(解像度)と“暗いところに強い”(高感度)という性能は二律背反の性能ですから、両方のバランスをとることが重要だと考えています」。
では、1920×1080ピクセル記録の製品はいつ登場するのだろうか。
「もちろん、1920の製品についても考えていないわけではありません。イメージセンサーやレンズといった“器”を用意した上で、出していきたいと考えています」。
PCの推奨スペックが変わった理由
余談になるが、今回の新製品では、スペック上の推奨PC環境に若干の変化があった。AVCHD(MPEG-4 AVC H.264)を扱うのに必要なスペックとして、従来はPentium 4/2.8GHzの必須環境(推奨はPentium 4/3.6GHz、Pentium D/2.8GHz以上)だけを表示していたが、今回は「パソコンへの転送・保存、ハイビジョン画質のDVD作成の場合のみ、Pentium III/1GHz以上」という記述が加えられている。
「われわれが行ったユーザー調査によると、PCの用途はバックアップがメインであることが分かりました。そして用途を限定するのなら、必ずしもPentium 4は必要ないと考えます。具体的にいうと、“ワンタッチディスク”、PCへのバックアップ、カメラ本体への書き戻し、そしてPCに保存した映像を12センチディスクに焼くことに関しては、Pentium III/1GHzクラスのPCでも実用的です」
もちろんPC上での再生/編集などの重い処理については従来通りのスペックを推奨する点は変わっておらず、その旨も明記している。ユーザー心理を考慮して“敷居を下げた”といえそうだ。
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