携帯向け衛星サービスの起爆剤?――モバHO!対応「U:MO」:レビュー(3/3 ページ)
アイリバー「U:MO」はモバイル機器向け衛星放送「モバHO!」に対応したポータブルプレーヤー。モバHO!は開始から3年近くになるものの、さほど普及していない。新端末はモバHO!普及の起爆剤になるのか。
録画も可能――評価はモバHO!チャンネルの充実次第?
チャンネル選択後、D-clickの右を押すとチャンネルリストが表示され(同時5局)、長押しするとサブメニューに切り替わる。本製品はモバHO!の録音/録画も可能で、サブメニューから「録音」を選択すると録音/録画の待機状態となり、D-clickの右を再度押すことで視聴中の番組が録音/録画される。
番組表を利用した録音/録画も行え、サブメニューの「番組表」からチャンネルもしくは時間帯を選び、表示されるリストから番組を選択すればよい。ただ、モバHO!を受信している状態でなければ「番組表」は呼び出すせず、結果として受信圏外では一切の録画操作が行えない。
予約については最新情報を参照する必要があるため、この仕様にも納得できるが、予約取り消しについても、メインメニューから「モバHO!」を選択、チャンネルリストを表示させた後ではないと選択できない。つまり、モバHO!を受信できる環境下でないと行えない。この仕様は疑問だ。
録音/録画したファイルの再生はサブメニューから「録画/録音ファイルリスト」を選び、ファイルを選択することで行える。ファイルに番組名などは表示されず、「CH000_YYMMDD_XXX.TSV」(チャンネル番号_年月日_ファイルナンバー)という形で表示される。番組表を利用して録画できるのだから、せめて番組名や録画時間ぐらいは表示してもらいたい。
録画に関してはほかにも注意点がある。マニュアルにも記載されているが、メモリ容量の空きが40%以上ないと録音/録画が行えない点には要注意だ。試しに2時間の番組を録画してみたところ約330Mバイトのファイルが生成されたので、1Gバイトの内蔵メモリに録音/録画する場合、約4時間分の録画をするだけで限界に達してしまう計算だ。miniSDカードによるメモリ拡張が可能だとはいえ、次々と録画していくとあっという間に上限に達してしまうだろう。
また「録画/録音ファイルリスト」を表示させるために、モバHO!が受信できる環境に置く必要があるのも疑問。実際にはメインメニューから「その他」――「ブラウザ」――「Recording」――「Mobile」とたどれば、モバHO!が受信できない環境でもファイルを再生できるだが、はっきり言ってこのナビゲーションは分かりにくい。最初筆者は受信圏外だと録画したビデオも見られないのか?と勘違いしたぐらいだ。
メインメニューには、PCなどからコピーした動画ファイルを見るために「ビデオ」の項目が用意されているのだから、録画したモバHO!のファイルもここから選択して視聴できるようにするのがスマートだと思う。
気になる映像のクオリティだが、送信されるQVGA解像度の映像をQVGA解像度の液晶で表示しているためか大画面を搭載したワンセグ対応携帯電話で見られるようなアップスケールによるぼやけ感がなく、精細感は高い。ただ、画面サイズの代償かニュース番組などのテロップはかなり小さく、凝視しないと見えにくい場面もあった。
本製品は有料放送端末という位置づけから一般的な市販は行われておらず、「モバイルUSENクラブ」を通じたレンタルのみでの提供となっている。
料金は端末レンタル代金が月額2200円で、これにモバHO!の視聴料金が追加される。モバHO!の視聴料金は基本料金が400円で、これに視聴したいチャンネルに応じた料金が加算される。すべての映像チャンネル(グリーンチャンネルを除く)と音楽・音声チャンネルが視聴できる「Aチャンネル」(2080円)や、「MTV」に音楽10チャンネルをセットした「Eチャンネル」(580円)など、全部で10のプランが用意されている。データ番組は本製品で視聴できないので、本製品の利用者からすれば全9プランとなり、最低視聴料金は400円+580円の980円になる。
本製品を携帯型の放送受信端末として評価する際、どうしてもライバルになるのはワンセグ放送対応端末になる。双方とも携帯端末向けのデジタル放送サービスだが、ワンセグ放送は視聴料金が無料であるほか、端末バリエーションも豊富だ。本製品は単体のポータブルプレーヤーとしても高いクオリティを持つとはいえ、受信するのが有料放送であるため、どうしても心理的なハードルは高くなってしまう。
その中で本製品を選ぶメリットといえば、やはり、通常ならばCATVやスカパー!などと契約しなければ視聴できない多数の有料チャンネルを、アンテナやSTBの設置なしで手軽に視聴できることだろう。携帯して移動中に動画(番組)を見るかどうかは別の問題として、機器増設の手間なく有料チャンネルを見られるのは本製品ならではだ。
そう考えると、見たい/聞きたいチャンネルに月額3190円(最低料金:端末レンタル料金2200円+モバHO!利用料金980円)を払えるかどうかが本製品の評価の鍵を握ることになる。チャンネルそのものはニュースや音楽など携帯機器でも十分に楽しめるモノが多いだけに、あとはさらなるチャンネルの充実と月額料金の低価格化を望みたい。
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