パイオニアが液晶市場へ、シャープとパイオニアが提携
シャープとパイオニアがディスプレイや次世代DVDの共同開発を含む広範囲な事業・資本提携に合意。パイオニアが液晶テレビを販売する可能性が高まった。
シャープとパイオニアは9月20日、業務及び資本提携に関する合意書を締結したと発表した。両社は次世代DVDや家庭向けネットワーク製品、カーエレクトロニクス、ディスプレイなど幅広い分野の共同開発を推進する。
資本面では、パイオニアが第三者割り当てで発行した新株式3000万株をシャープが引き受けることで、シャープはパイオニア株の14.28%を保有する筆頭株主となる。同時に、シャープは発行済み自己株式1000万株を第三者割り当てにてパイオニアへ割り当てる。
「経営環境は厳しさが増す一方であり、そこでは戦略的な企業提携は欠かせない。ただ、その相手はどこでもよい訳ではない。相性のよい相手と提携しなくてはならない。先日公開した“2センチの液晶テレビ”にはよい音も不可欠だが、そこにパイオニアのオーディオ技術が導入できればかなりのシナジー効果を見込めるだろう」(シャープ 取締役社長 片山幹雄氏)
「以前から情報交換を含め、シャープとは親しくさせてもらっていた。提携によって、既存事業の強化、新事業の立ち上げ、独創的な製品づくりを実現できると考えている。資本提携によってシャープが筆頭株主となるが、独自性は失わない」(パイオニア 取締役社長 須藤民彦氏)
具体的な提携内容については両氏とも「共同開発を進めていく」と述べるにとどまったが、須藤氏は「これまでパイオニアの薄型テレビはPDPだけだったが、今後は液晶テレビもラインアップすることが可能になった」と今回の提携によってパイオニアからシャープ製の液晶テレビが販売される可能性を示唆した。
ただ、パイオニアのPDP中心という戦略に変化はないようだ。「PDPが中心であり、それは変わらない。ただ、液晶には液晶のよさがある。ライバルメーカーはどこも液晶とPDPの2本柱。戦略の変化ではなく、追加だと思っている」と須藤氏が述べれば、片山氏も「パイオニアが液晶を扱えば、大口の顧客となる。工場の稼働率も上がる」と歓迎の意を表した。
関連記事
- シャープが“次世代液晶テレビ”を公開
シャープは8月22日、「画質」「薄さ」「環境性能」で既存製品を大幅に上回る液晶テレビの試作機を公開した。2010年に予定されている堺工場の稼働に合わせて量産を開始する方針だ。 - “未知の黒”に出会える新世代プラズマ「KURO」、パイオニアが発表 (1/2)
パイオニアは8月2日、ハイビジョンプラズマテレビの新シリーズ「KURO」(クロ)を発表した。1月の「International CES」で注目を集めたコントラスト比2万:1の“新世代パネル”を採用している。 - 「次世代も本命は液晶」――シャープが描く未来のテレビ像
シャープが公開した液晶テレビの試作機は、画質、薄さ、環境性能のどれをとっても既存の液晶テレビを大幅に上回る。そして“次世代テレビ”と言われる有機ELやSEDに対しても優位性は揺るがないという。 - 2007 International CES:“プラズマを超えるプラズマ”を披露したパイオニア――“世代違い”の新画質
パイオニアは、昨年の「CEATEC JAPAN 2006」で参考展示した次世代PDPを、北米では今年夏に投入すると発表したが、そのデモンストレーションはCES期間中を通して大変に好評だった。コントラスト比2万対1以上を実現する“PDP”という概念の枠を超えた新しい画質は期待値以上のものだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.