ビクター、大画面テレビ用“次世代GENESSA”を公開
日本ビクターが大画面テレビ向けの「次世代高画質エンジン」を発表した。来年春に登場する液晶テレビの新製品をはじめ、幅広い製品に採用する予定だ。
日本ビクターは9月27日、大画面テレビ向けの「次世代高画質エンジン」を発表した。来春の液晶テレビ新製品から採用することが決まっているほか、大画面ディスプレイ向けの基幹技術として幅広く採用していく計画だ。
「GENESSA」(ジェネッサ)の名称で知られる同社の映像処理LSIは、2004年に32bit CPUを搭載した初の映像処理チップとして登場した。以来、フルHD対応の「新・GENESSA」、倍速液晶ドライバーを統合した「倍速GENESSA」と、表示デバイスの進化とともにアップデートを重ねてきた。この点は次世代GENESSAも同様で、「10bit超の液晶パネルや大画面化に対応する信号処理性能を提供するもの」(同社)としている。
主な機能は4つある。DeepColorやx.v.Colorなど新しい入力信号に対応するコネクタビリティ、一般的な8bitの映像ソースを12bitに拡張する「Real Bit Driver」、IP放送などの低解像度の動画や低品質なソースにも対応できるノイズリダクション、そして人間の目やコンテンツに合わせて最適化するインテリジェントな画質改善処理だ。
Real Bit Driverは、デジタル処理の前段で入力信号をY/Cb/Cr各色12bitに拡張する。またチップ内では各ブロック間の伝送もすべて12bit幅とし、画像処理ブロックの内部はRGB各20bit超で処理を行う。最初から最後まで太いパイプを通すことでボトルネックをなくし、劣化を防ぎつつ信号処理によるプラスαを加えるというのが主旨だ。同社はこれを“Real 32bit処理”と呼ぶ。
「他社の“最大16bit映像処理”などと表現される映像エンジンでは、ブロック間を8〜10bitで伝送することがボトルネックになり、パネルの直前でディザや誤差拡散技術で疑似階調を作っている。しかし、滑らかで見やすい映像を表現するには、最初から最後まで12bitの信号をしっかり通すことが重要」
また12bit化は後段の映像処理にも相乗効果をもたらす。たとえばインテリジェントガンマで特定の周波数を持ち上げるとき、ベースになるグラデーションカーブをあらかじめ滑らかにしておくことで、映像の細かい質感を保ったままガンマ補正が可能になるという。たとえば、背景の空などグラデーション部分を滑らかにしながら、建物の質感などが失われない。
「Real Bit Driver」と並ぶもう1つの目玉が「i-ClearMotion NR」だ。これは同社が先鞭をつけた倍速駆動技術から生まれたノイズリダクション技術。従来は不可能だった動きのある映像に対する3次元ノイズリダクションを可能にする。
「3次元NRは、連続するフレームを足し合わせてノイズ量を検出し、NRの強度を設定する。動きのある映像では弊害が大きく、オフにしてしまうのが一般的だが、倍速駆動に使う動き予測技術を用いて3次元NRを可能にした」
また周波数帯別にノイズ量を細かく検出してNR強度を自動設定する新方式により、元の映像に対する影響をを最小限にした。これは、もともとノイズの少ないゲーム画面などにも有効に働くという。
このほか、人間は着目した物体に対して色彩の感度が高くなるという特性を生かして映像の特徴に応じて色相や色のゲインを制御する「Real Color Creation」、独自のx.v.Color対応信号処理、動き補償型のI/P変換回路など、次世代GENESSAには現在と近い将来に求められる機能の多くが詰め込まれている。同社では「映像の特徴検出力を強化し、緻密で鮮やかな映像を作り出す。眩しさやチラつきを抑えた“人の目に優しいテレビ”を実現する」としている。
次世代GENESSAは、10月2日に幕張メッセで開幕する「CEATEC JAPAN 2007」の同社ブースで見ることができる。会場では、各技術の効果がわかる比較デモンストレーションなども行われる予定だ。
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