「コピー10」、7つの問題点:CEATEC JAPAN 2007
見直し議論が進むコピーワンス。10回までの複製を可能にする「コピー10」に改められる可能性が高いが、“ハイビジョン・ラバー”麻倉怜士氏は7つの問題点を指摘する。
CEATEC JAPAN 2007の4日目となる10月5日に行われたトークセッション「ハイビジョンの世界、ついに完成!BDの新たなる挑戦」。松下電器産業やシャープ、ソニー、日立製作所、ウォルト・ディズニー・ジャパンといったBlu-ray Discに関するメンバーが集った場で、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏が見直しに向けた気運が高まるコピーワンスの改訂版と目される「コピー10」の問題点を指摘した。
日本画質学会副学会長を務め、自他ともに認める“ハイビジョン・ラバー”である麻倉氏は2004年のCEATEC JAPANで行われたトークセッションでもBlu-rayは大好きだがコピーワンスは大嫌いと、「ユーザーを大切にするDRMが大切だ」とコピーワンスについて嫌悪感を示している。
既に広く知られているように、コピーワンスで管理されているコンテンツは録画機のHDDから一度DVDなどのパッケージメディアへ移動(ムーブ)させると元に戻せず、編集もできない。バックアップも作成できないので、ムーブの失敗に対する保証もない。それにポータブルプレーヤーで見ようとSDメモリーカードなどへ画質を下げて移してしまうと、録画時の画質を取り戻すすべはない。「ハイビジョン映像がなくなるなんて、信じられない!」(麻倉氏)
コピーワンスの見直しについて正式な決定はまだ下されていないが、これまで1回(放送波からHDDやDVDなど)だったコピー回数が合計10回までに緩和され、HDDに録画した地上デジタル放送などのコンテンツならば9枚のディスクが作成可能となる、いわゆる「コピー10」となることが予想されている。ただ、麻倉氏は「これではハイビジョン映像を愛するユーザーとして納得できない」と“7つの問題点”を指摘する。
1)録画したディスクからコピーができない(孫コピーができない)
2)録画したディスクが編集できない
3)まずHDDへ録画しないと意味がない。将来のダビングのためHDD容量が圧迫される
4)既存のHDDレコーダーではコピーワンスのまま
5)長時間の番組を分割してコピーすると毎回カウントされてしまう
6)実質的にレコーダーへプレイリスト機能が必要となる
7)機種やメディアごとの対応が統一されていないので混乱を招く
「コピー10が運用されても、極論すればコピーワンスのディスクが10枚できるだけ。ガッカリ感も10倍ですよ」
そこで麻倉氏が「あるべきコピー10」の満たすべき要件として挙げるのは、「パッケージからパッケージへのコンテンツ継承」「録画機のHDDからパッケージへのコンテンツ継承」「複数世代のコピー」の3点だ。
「コピー回数が10回に増えれば満足だろうという意見もあるが、そうした意見は録画をタイムシフト視聴の手段としてしか見ていない。ハイビジョン映像を愛する人は私も含めて、編集してコレクションする人であり、美しい映像を人一倍愛する人のはず。そうした“熱血”ユーザーが納得できるデジタルコピーの仕組みを提案してほしい」
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