もはや人ごとではない――MIAUに込めた想い:小寺信良(3/3 ページ)
近年、コンテンツと著作権に関する議論を耳にする機会が増えたが、その声が何らかのカタチで法律や制度へ反映されているかと言えば否だろう。ネットの世論、我々の声を現実の社会へ、政治の世界に届けるため、「MIAU」は立ち上げられた。
未来へのおみやげ
MIAUの方向性を支持する人も、しない人もいるだろう。またMIAUの存在そのものを否定的に捉える人も、今後出てくるだろう。そうしたら是非、ネットの中で匿名で騒ぐのではなく、実社会で行動して欲しい。白田先生が記者会見でも述べたように、1つでも多くの消費者を代表する活動団体を増やすこともまた、我々のミッションのうちの1つである。
最後にこの組織を立ち上げた、私的でストイックな理由のほうもお話ししておこう。それは、子供たちのことだ。親の立場としては、誰でも自分の子供に、こんなことを教えているはずだ。
争いをしないこと。
みんなで分け合うこと。
欲張らないこと。
誰かをだまさないこと。
他人を尊重すること。
だが実際はどうだ。人は権限を持つと、横暴でよくばりで嘘つきになる。うちの子供は親に似て、単純でバカみたいな正義感をモロに受け継いでしまった。そんな子供が社会に出たときに、「父ちゃんハナシが全然違うよぉ……」とガッカリされるのがイヤなのだ。
だから口で言うだけではなく、自分達の子供に対して恥ずかしくない作業をやることにした。地味で全然かっこよくないし、子供と遊んでやる時間がどんどん減っていくのだが、もしかしたらとうちゃんは横暴でもよくばりでも嘘つきでもないことを示せるかもしれない。
まあその結果を子供が知るにはどれぐらい時間がかかるものなのか、想像も付かないわけだが。
このあと数日のうちに、MIAUの公式サイトで協力者募集が開始される。今メンバーがものすごいイキオイで、会則などを作っているところだ。いろいろ用意しなければならないものが沢山あって手が足りないのだが、まあ手が足りないから協力者を募るわけで、なかなか前に進むのも難しいよちよち歩きである。
皆さんの持つスキルとリソースを少しでもお借りできたら、こんな幸せなことはない。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は小寺氏と津田大介氏がさまざまな識者と対談した内容を編集した対話集「CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ」(翔泳社) amazonで購入)。
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