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「DVDにハイビジョン録画」はBD陣営の自己否定――東芝・片岡氏インタビュー(2/4 ページ)

H.264による「DVDメディアに長時間ハイビジョン保存」を可能とする技術を備えたレコーダーが複数登場する。東芝の「RD-A301」もその1台だが、同社はこの機能を新たなパラダイムシフトとして打ち出す。RDシリーズの父、片岡氏に話を聞いた。

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Blu-rayは自己否定、HD Recはみんなで作った

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「AVCREC」での録画に対応するパナソニック「DMR-BW900」

 ただし、問題がないわけではない。というのも、次世代光ディスク戦争は混迷を極め、BD陣営では、HD RecのBD版といえる「AVCREC」と呼ばれるほぼ同じ機能を実現する規格を策定しており、これに対応したレコーダーの発売もアナウンス済みだ(→松下、AVC録画対応のBlu-ray DIGAを発表、→たっぶり録画に高速ダビング、ソニーの新Blu-rayレコーダー)。

 これによってDVDメディアの保存形式には、現在利用されている「DVD-VR(VRモード)」や「DVD-Video(ビデオモード)」などに加え、新たに「HD Rec」と「AVCREC」という同じような機能を実現した2つの保存方法が加わり、より複雑性を増してしまったのだ。

 その点について、片岡氏は「Blu-rayは自己否定。Red-ray(編注:青色レーザーを使うBlu-rayに対し、赤色レーザーを使うDVDを指している)にBlu-ray Disc規格のアプリフォーマットで書いてますから、名前が矛盾しています。最初から、それを想定していなかったんでしょう」とBD陣営の策定したAVCRECについて手厳しい。

 「実際にCPRMのDVDメディアにどうやって記録するかは、東芝がアイデアを出して、メディアメーカーやAACS LAを全部通してからみんなでチェックして決まったんです。ここにはもちろん、同じDVDフォーラムのメンバーとしてソニーさんや松下さんもいるわけです」

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RD-A301の発表時に片岡氏が示した資料。「ディスク」と「記録フォーマット」「録画方式」の関係を整理すると図のようになる

 「彼らは、決まったらこれをベースに同じハードスペックでアプリとファイルシステムだけ変えて(AVCRECを)出してきた。だから、具体的に(DVDメディアを)どうやって使うかと言うことについて、Blu-ray側には何もなかったのではないでしょうか。ただ、それゆえにHD RecとAVCRECは物理的な互換がとれているというのは、特にドライブメーカーさんとかには、ある意味で好都合と言えるのかもしれませんが……」

 これからも解るように、HD RecとAVCRECは、記録に使用されるメディアは同じものだ。HD Recを例に説明すると、記録メディアは、3倍速記録以上のCPRM付きDVD-R/DVD-R DL/RW/RAMが使用でき、規格策定済みで対応商品の登場待ちとなっているDVD-RW DLも使用できる。

 また、前述のメディアのうち1つまたは複数のメディアを3倍速以上で再生できるように設計されたドライブが必要とされている。記録速度は問われていないが、実際に記録される番組は、CPRMがついたメディアに「AACS」でコンテンツプロテクションが施されて記録されることになる。また、記録されるアプリケーションの形式は、HD Recでは、HD DVDメディアで使用されている「HD DVD-VR」(HD-VR)形式で、AVCRECは、BDメディアに録画するときに使用される「BDAV」形式となる。

DVDにも無劣化フルハイビジョンで保存

 RD-A301の特徴を「デジタル放送をそのままの品質で記録するTSタイトル、H.264でデジタル放送を高圧縮保存したTSEタイトル、アナログ放送などで使用される現行DVDのVRタイトル、この3つを現行DVDメディアとHD DVDメディアに区別無く混在して記録できること」と話す片岡氏。この特徴は、HD Recで使用される「HD DVD-VR」というアプリケーションの規格のメリット(特徴)をそのまま説明したものでもある。

 というのは、HD DVD-VRには、「VOB」(ビデオブジェクト)形式と「SOB」(ストリームオブジェクト)形式と呼ばれる2種類の保存形式が準備され、両者を混在してメディアに記録できるよう設計されているからだ。

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