これまでの操作性を捨ててもよかった?――DSC-T2「タッチパネル」(後編):あのデジカメ、ココが気になる
タッチパネルで軽快な操作性を手にしているDSC-T2だが、その操作性自体は初のタッチパネル搭載機からさほど変化していない。
新たなデジカメ体験に期待
DSC-T2の魅力は、直感的に操作できるタッチパネルを搭載したことだ。タッチパネルを全面採用しながらも一般的なデジカメと変わらぬ感覚で操作できるというというのはDSC-T2の大きな魅力なのだが、逆にタッチパネル自体の可能性をスポイルしているようにも感じられる。確かにデジカメユーザーであれば迷うことなく使いこなせるだろう。しかし、これまでのデジカメと使用感があまり変わらないというのが残念なのだ。
すでにDSC-N1の登場から2年が経過しているにもかかわらず、タッチパネルの機能としてはあまり進化がない。同じくタッチパネルを備えるアップルのiPod touchは、その見せ方とユーザーインタフェースの部分に新しい工夫を加え、まったく新しいと感じさせる製品を作り上げた。
それに対してDSC-T2のユーザーインタフェースでは、表示されるアイコンに次々と触っていかなくてはならず、極端な話、単にボタン操作をタッチ操作に置き換えただけともいえる。Cover Flowのように指を左右に動かしての画像送りはできず、矢印アイコンに触れなければならない。拡大縮小も、(少なくとも縮小は)虫眼鏡アイコンをタッチしなければできない。
個人的には、いっそのこと「これまでのデジカメの操作性」は捨ててもいいのではないかとも思う。撮影中に画面上で指を左右に動かすとダイレクトに露出補正が変更できたり、上下に動かしたらダイレクトにISO感度がドラムロールのように回って選べたり、右回転させるとホワイトバランスが円形に表示されたり。指先で触れるからこそ使いやすいというインタフェースがあるはずで、そうした新たな工夫が欲しい。
また、ソニーはPDA「CLIE」やモバイルPC「VAIO type U」、そしてこのサイバーショットでタッチパネルを採用してきており、すでにお手の物……のはずだが、DSC-T2はパネルへ触れた際に反応が鈍いことがあるほか、指を押しつけると液晶がにじむのも残念。タッチパネルの理想は、触れた瞬間に動作すること。指を使うタッチパネルはフィードバックがない分、触れた瞬間に反応すべきなのだが、画像送りや拡大縮小でもうちょっとてきぱき動いてくれるとよかった。
DSC-T2のタッチパネルをいかした、お絵かき機能やスタンプ機能を楽しめる人も多いだろう。ただ、それだけでは物足りない。つい苦言を呈したくなるのは、デジカメとタッチパネルの親和性が高く、将来が楽しみな組み合わせだからだ。こうしてソニーが継続的に新製品を投入してくれるので、同社には新しい工夫で、「新しいデジカメ体験」を開発してくれることを期待したい。
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