ヒトの本能をつんつん刺激する? 「ツッツキバコ」の正体(2/2 ページ)
バンダイの「ツッツキバコ」は、穴があれば中を探りたくなるという人間の心理を巧みに利用した新タイプの玩具だ。しかし、利用したものはそれだけではなかった。
触覚の錯覚
触覚の錯覚とは、実際には何も触っていないのに、触っているかのように誤って知覚すること。ツッツキバコの中は空洞になっているが、液晶画面のキャラクターたちを見ながら指を動かしているうち、指先にキャラクターに触れているような錯覚をおぼえるという。
確かに、アメーバをぐりぐりしているときなどは、指先にグミのような柔らかいものに触れているような気がする。パンダをつついていると、指先がむずむずしてくる。もちろんツッツキバコの中には何も存在しない。
「東京大学文学部・大学院人文社会系研究科の佐藤隆夫教授によると、脳には五感のバランスが不自然な状態のとき、ない部分の感覚を補って“つじつま合わせ”をする働きがあるそうです」。
ツッツキバコで遊んでいると、人は指先の動きとして“中のものをつっついている”ことを自覚し、視覚からもそれと矛盾しない情報が脳に入ってくる。指先の感覚、触覚だけはゼロでも、指の運動感と視覚からくる情報が“つっついている”状態を強く示しているため、脳がつじつま合わせをして、ないはずの感覚――つまり本当に触っているような気がする“触覚の錯覚”を作り出してしまうという。この感覚は、実際にツッツキバコで体験してほしい。
こうした学術的な一面を併せ持ち、これまでの玩具にない遊び方を提案するツッツキバコ。キャラクターたちをつつきまわし、なでまわし、あるいはつぶしまくってそのリアクションを楽しむことで、癒しやストレスの発散になり、おそらくは人間のサディスティックな一面をも満たすこともできるだろう。さまざまな点で、人の性質を利用した新タイプの玩具であることは間違いない。
「今後は、キャラクターたちを育成する要素も検討していきます」という近藤氏。将来の製品展開にも期待できそうだ。ただ、ティーザーサイトで意図的に“別の本能”を刺激したと思われる件については、最後まで何も語らなかった。
関連記事
- 穴に指を入れると何かが……バンダイ「ツッツキバコ」
バンダイは、液晶画面の中をつついて遊ぶ新感覚のデジタルトイ「ツッツキバコ」を発表した。さまざまなキャラクターをいじくりまわし、その反応を楽しむリアクショントイ。時計にもなる。 - プチプチ無限地獄へようこそ
バンダイの「∞プチプチ」(無限ぷちぷち)は、人間の本能に潜む、飽くなき“ぷちぷちしたい”欲求をトコトン満たしてくれる無駄アイテムだ。企画・開発を担当したバンダイ 高橋氏に話を聞いた。 - 飽和するコンパクトデジカメ、脱却の糸口を探す
何度目かのカメラブームのまっただ中ではあるが、コンパクトデジカメはその機能、性能ともに行き着くべきところまで来てしまった感がある。その閉塞感を打ち破るのは果たして何か。 - プチプチ、エダマメの次は……ペリペリ? バンダイ「∞ペリペリ」登場
バンダイは、キーチェーン玩具「∞ペリペリ」を11月下旬に発売する。あの「∞プチプチ」、「∞エダマメ」に続くシリーズ第3弾。ちなみにペリペリというのは……? - 撃ってスッキリ朝のお目覚め、バンダイ「ガンオクロック」
バンダイは、エンターテイメント系目覚まし時計「Gun O'clock」(ガンオクロック)を11月に発売する。起床時刻になると、アラーム音とともに的がむっくりと起き上がり、専用ガンで撃つまで止まらない。 - 涼しげな水玉に癒される? 超撥水ゲーム「アクアドロップ」
普通の撥水加工を超えた“超撥水”。この特殊加工を応用したゲームが、バンダイから新しく発売された「アクアドロップ」だ。水を入れるだけでアラ不思議、小さな水玉となって盤面を転げ回る。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.