アップル製バランスド・アーマチェア式イヤフォンを試す:1万円以下(2/2 ページ)
アップルのカナル型イヤフォン「Apple In-Ear Headphones with Remote and Mic」は、1万円以下という価格でデュアルのバランスド・アーマチェア方式を採用した注目製品。さてそのサウンドは?
というように機能とスペックの両面から大いに魅力を感じられる、「Apple In-Ear Headphones with Remote and Mic」だが、ここからは冷静に装着感や使い勝手、そして肝心のサウンドクオリティーについてチェックをしていこう。
バランスド・アーマチュア型を採用するため、ユニット自身はかなり小型な部類にはいる。ケーブルも細めで、重量は約10グラムとかなり軽く、耳に重さを感じることはない。イヤーピースはシリコン製を採用、標準でS/M/Lの3サイズが添付されているため、ほとんどの人が耳にピッタリとフィットするはず。装着感に関しては、かなり上々だ。
リモコン操作部は右耳側にレイアウトされていて、装着時にちょうどアゴあたりにくるため、操作性はよく、何かにあたって誤動作することはまずない。操作は+−ボタンで音量、そのあいだのくぼんだ部分を1回押すと一時停止/再生、2回素早く押すと曲送り、3回素早く押すと曲戻しできる。
マイク機能に関しては、簡易的という言葉が的確な表現だろう。音楽を聴いている時にもすぐに録音がスタートできるのはけっこう便利なのだが、録音がモノラルであることに加え、マイク自体の感度が低いため、かなり近い場所、または大きな音でないと実用的な録音は行えない。あくまでも非常用もしくは遊び用にとどめ、会議や会話をしっかり録音したい人は、専用マイクを用意しておいたほうが無難だ。
機能面での問題は対応機種の少なさだろう。フル機能が利用できるのは、第4世代iPod nanoと第2世代iPod touch、iPod classic(120GB)のみとされている。実際手元にある第5世代iPod(classic系)や第1世代iPod touchで試してみたが、操作/マイク録音ともに対応していなかった。このあたりは、ソフトウェアのアップグレードなどで対応してほしいところだ。
音質に関しては、さすが2ユニット搭載タイプというべきだろう。バランスド・アーマチュア型ならではの高域の素直さを保ちつつ、低音のボリュームもしっかり確保されていて、騒音レベルの高い屋外でもパワー感は充分。音楽ジャンルも特に選ぶタイプではなく、ポップスからロック、クラシックまでそつなくこなしてくれる。
ただひとつ残念なのは、低域と中域の2カ所にある音の粗さだ。ちょうどバスドラムとハイハットにあたる音程に不要な音が乗ってしまい、その悪影響で演奏が煩雑に聞こえてしまうことがある。軽さを追い求めたゆえか、コストからくるものか原因は分からないが、これは特にヒップホップ系で気になる。ただし、金額を考えると十分以上に健闘はしていることは断言できる。静かな部屋でバランスド・アーマチュア型ならではの上質な音を楽しみたいと考えている人には向かないかもしれないが、野外で使う人にはそれほど気にならないはずだ。
結論を言えば、高音の素直さや伸びやかさはバランスド・アーマチュア型ならではといえるし、対応するiPodに限られるがリモコンやマイクも便利に使える。それらをすべて持ち合わせて、価格が1万円以下なのだから、多くの人にとって「お買い得な」モデルであることに間違いはない。少なくとも僕にとっては、入手して後悔のない製品となったことだけは伝えておこう。
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