チェ・ゲバラからストーンズまで、今月のオススメBDはこの5本!:本山由樹子の新作劇場 特別編(2/2 ページ)
革命家 チェ・ゲバラの一生を描いた歴史ドラマやストーンズのライブドキュメンタリーなど6月発売の新作BDは渋めのセレクション。梅雨空を吹き飛ばしたいときは「マンマ・ミーア!」をどうぞ!
その土曜日、7時58分
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「十二人の怒れる男」「評決」など硬派な人間ドラマを撮り続けてきた名匠シドニー・ルメット。監督45作目となる本作は、ずさんな強盗計画が家族それぞれの秘密と兄の葛藤を浮かびあらせていくサスペンス・ドラマ。
娘の養育費もまともに払えないハンク(イーサン・ホーク)に、兄のアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、ある計画を持ちかける。それは両親が営む宝石店へ強盗に入ることだった。
出来の悪いハンクとは対照的に、会計士で美しい妻(マリサ・トメイ)にも恵まれて何不自由ない生活を送っているかに見えた兄だったが、裏では麻薬におぼれ、会社の金を横領していた。緊急に金を必要としていたアンディは言葉巧みにハンクを説得する。危険はほとんどなく、損害は保険で補填されるから何の心配もない、と。犯行当日、怖気づいたハンクは仲間を引きずりこみ、店の外の車で待機する。すると、その時間にいるはずのない母親がいて、彼女は強盗を撃ち殺し、自分も撃たれて重傷を負ってしまう。そして母親が死ぬという大誤算が……。
2007年放送映画批評家協会賞で監督賞とアンサンブル賞を、インディペンデント・スピリット賞では助演女優賞と新人脚本賞にそれぞれノミネート。
金にほんろうされ、運命が次々と暗転していく展開が秀逸。人間の善意と悪意を問いかける、深い闇を扱った作品。ホフマンの演技も相変わらずスゴイ。(7月3日発売/ソニー・ピクチャーズ/4980円)
クレイマー、クレイマー
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現在では珍しくない離婚やシングル家庭が社会問題となり始めた1970年代アメリカの世相にアピールして社会現象を巻き起こし、第52回アカデミー賞で作品賞をはじめ主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、助演女優賞(メリル・ストリープ)など5部門を受賞した名作「クレイマー、クレイマー」が製作30周年を迎えて初BD化。
モノラルのみだった音声を5.1ch Dolby TrueHDで収録。DVDには未収録だった日本語吹替版も撮り下ろされた。特典はメイキングに加え、BD-LIVEを新収録している。
ホフマン扮する仕事人間のテッドに、ある日、メリル演じる妻のジョアンナが別れを告げる。最初は冗談かと思っていたテッドだが、翌日から子供の朝食をつくり、慌ててタクシーで会社へ駆けつける毎日。やがて仕事がうまくまわらなくなり、失業してしまう。そんな中、ジョアンナが子供の養育権を主張し裁判を起こす。
当時、ホフマンは私生活でも離婚調停中だったというから皮肉な話。フレンチ・トーストの名場面はもちろん、父子関係の変化を“日常生活の繰り返し”という画で見せ切るところが、なんとも巧い。ほろ苦いホームドラマの名作を高画質で堪能しよう(6月3日発売/ソニー・ピクチャーズ/4980円)。
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