興行収入155億円の大ヒット作――「崖の上のポニョ」:本山由樹子の新作劇場
宮崎監督の大ヒット作が2枚組DVDで7月3日に登場(BDは12月発売予定)。世界に誇れる日本の宝、宮崎駿のイマジネーションあふれるファンタジーアニメは老若男女問わず必見。
崖の上のポニョ
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2008年7月19日に公開され、08年の興行収入第1位となる155億円を記録した「崖の上のポニョ」が、7月3日に本編と特典ディスクの2枚組でDVD化される。音声はドルビーデジタルの2chと、DTS-ESの6.1chサラウンドを収録。特典は絵コンテと劇場予告編集を収録。なお、Blu-ray Discは12月発売予定で、価格などの詳細は未定。
ストーリーは明快。真っ赤な体を持つさかなの子 ポニョが、崖の上の家に住む5歳の男の子・宗介に助けられて彼を好きになる。宗介もポニョを好きになって彼女を守ろうとする。やがてポニョは父親のフジモトによって海へと連れ去られてしまう。ケガをした宗介の指の血をなめて人間の血が目覚めたポニョは、宗介のもとへ帰ろうと、荒れ狂う波の上を全速力で駆け抜ける。
とにかく面白いの一言。CGアニメしか見当たらなくなった昨今において、あえて手描きで押し切った絵は水彩画のおもむきもあり、温もりと懐かしさがいっぱい。一方で、波を大胆にデフォルメするなど、自然が持つ荒々しさも表現。この大波のシーンは映画のハイライトにあたり、宮崎監督自身がひとりで描き切った一幕。巨大な魚で波を描き、イマジネーションあふれる表現にただただ感服するばかり。
主人公・宗介の住む新浦は、宮崎監督が「ハウルの動く城」制作後2カ月間滞在した瀬戸内海の港町がモデル、宗介の名前は夏目漱石の「門」の主人公・宗助から、ポニョの本名ブリュンヒルデはワーグナーの楽劇「ワルキューレ」に登場する女神の娘に由来している、宮崎監督がどうしても必要だと考えたのはポニョが赤ちゃんにスープを差し出すシーン、エンドクレジットはキャストやスタッフ、肩書きによらない「あいうえお順」で名前の横には可愛らしいアイコン(宮崎監督はおなじみのブタ)など、こんなネタを頭に入れながら鑑賞すれば、新たな発見があるはず。
今年一番の注目ソフト、早期購入特典として6ページのシールブックも用意されていので、お早目に。「崖の上のポニョ」と同日に発売される「ポニョはこうして生まれた。〜宮崎駿の思考過程〜」も必見。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」の取材班が約2年もの間、宮崎監督に密着し、創作の秘密と素顔に迫ったドキュメンタリーで、収録時間は12時間に及ぶ。DVD(5枚組)とBlu-ray Disc(2枚組)で、ジブリファン、アニメーターを目指す人必見の1本だ。
関連サイト:http://www.ghibli.jp/ponyo/(公式サイト)
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