さえない男が暗殺者に覚醒――「ウォンテッド」:本山由樹子の新作劇場
フツーのサラリーマンが謎の美女に誘われ、闇の世界に身を投じていく。映像センス抜群のアクション大作がBlu-ray Disc化。見どころは、ジェームズ・マカヴォイがアンジェリーナ・ジョリーに痛いやら、嬉しいやらの特訓シーン。
ウォンテッド(Blu-ray Disc)
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2003年に刊行されてカルト的人気を博した、マーク・ミラー&J.G.ジョーンズによるグラフィック・ノベルを映画化したアクション大作「ウォンテッド」が2月25日にBlu-ray Disc化。
特典はロング・バージョン、キャストやキャラクターの紹介、特殊効果:実写へのこだわり、視覚効果:CGと実写の融合、グラフィック・ノベルから映画へ、「ティムール・ベクマンベトフ監督の撮影スタイル、”WANTED”:モーション・コミックス、ゲーム版「ウォンテッド」の制作などを収録。さらに、BDのみの特典「もうひとつのオープニング」、マイ・シーンズや独自のナビゲーション機能「U-CONTROL」も備えている。
平凡なサラリーマンのウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)は、性格ブスな上司に毎日どつき回され心臓バクバク、しかも恋人が同僚に寝取られても何も言えず、パニック障害用の薬を飲み続けている。いつものように薬を買いに行った薬局で、セクシー美女のフォックス(アンジェリーナ・ジョリー)が近づいてきた。ウェスリーが戸惑っていると、いきなり敵が現れて銃撃戦に。これをきっかけにウェスリーの人生が激変。
会ったことのない父親が、ギリシャ神話の時代から神に代わって“運命の意志”を実践してきた暗殺組織フラタニティの一員だったことを聞かされ、暗殺者だった父親同様の能力がウェスリー自身にもあるというのだ。退屈な人生を捨ててフラタニティの仲間入りをしたウェスリーは、フォックスの献身的な指導を受け、暗殺者としての能力を覚醒させていく。
この荒唐無稽なストーリーを独特のセンスで料理したのは、「ナイト・ウォッチ」で名をとどろかせたティムール・ベクマンベトフ監督。障害物があっても弾丸はカーブを描いて標的を撃ち抜き、ウェスリーの鼓動が速くなるとアサシン・モードが始まり、格闘シーンはスローモーション化。飛んできた弾丸は逆回しで狙撃手の正体が明かされるという凝りに凝った映像だ。銃弾にはGood-byeの刻印があるなど、遊び心もマル。
アンジェリーナ・ジョリーがクローズアップされているが、実はジェームズ・マカヴォイが主演。アクション俳優らしからぬフツーっぽい外見だが、驚いたことにジョリーに見劣りしていない。彼女から殴る蹴るの愛の特訓を受け、2人の間にはSMチックな固いきずなが芽生える。冴えない会社員から凄腕の暗殺者に成長していく役どころが実にハマっている。ハリウッド大作を見慣れた人も満足できるアクションムービーだ。
関連サイト:http://www.universalpictures.jp/sp/wanted/(公式サイト)
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