“タブレットMac”の姿を勝手に予想してみよう:本田雅一のTV Style番外編(2/2 ページ)
今回は、夏休みネタとして、少々遊び心も含めつつ、タブレット型Macの真相について”あくまでも勝手に”予想してみたい。周囲から聞こえてくる情報を整理すると、これはいわゆるパソコンではないと思う。
- マルチタッチ+電磁タブレット
iPhoneのタッチパネルは多彩で高精度な操作を実現するが、電磁タブレットの精度には敵わない。この両方の特徴を兼ね備えたタブレット入力を実現……というのは、いかにもありそうな話だ。しかし、アップルが専用ペンが必要な電磁タブレットをスマートなデバイスと見なすかどうかは微妙だろう。
電磁タブレット、あるいはそれに近い精度の入力デバイスを組み込んだなら、Macと接続することでMac用のタブレットデバイスとしても利用可能になる、なんてアイデアもあるかもしれない。
- ペーパーライクなディスプレイ
E Inkは紙に印刷されているかのような、見やすく目が疲れない表示をしてくれる上、消費電力が極めて少なく、表示を保持するだけならば電源を必要としない。実に理想的ではあるが、書き替えがひじょうに遅い上、カラー化が難しい(カラー化すると解像度の低さが問題になる)といった問題もある。
ほかの電子ペーパー技術も、多かれ少なかれ、似たような問題があるため、電子ペーパー技術にアップルはこだわらないはずだ。その代わり、同じペーパーライクというコンセプトでも、視点を変えて"紙と同程度の品位を持つ高精細な表示"を目指すのでは? と予想する。
Apple Padがハンドヘルドデバイスとすると、目との距離は50〜30センチ程度。200ppi(1インチあたりのピクセル数)程度の密度では不足で、300ppi近い解像度になるだろう。これは10年ほど前のレーザープリンタに匹敵する解像力だが、今の液晶技術なら実現できるはずだ。あるいは、有機ELをディスプレイとして使うかもしれない。
- iPhone/iPod touchと似たハードウェアアーキテクチャ
Macでないならハードウェアはインテルベースである必要はない。そもそも、Macのソフトを動かさないならソフトウェアの互換性は不要なのだから。互換性が必要なのはMacとの間ではなく、iPhoneではないだろうか。
App Storeに並ぶアプリケーションはタッチパネル向きに開発されているから、互換性さえ取ってやれば、Apple Pad上でも役に立つはず。となると、プロセッサはARM系でGPUにPowerVRという構成にしておいた方が都合がいい。
効率よくカッコいいユーザーインタフェースを構築する上でも、GPUの処理能力に重きを置いたiPhoneの設計ポリシーは、この手のタブレット型端末向きだ。
予想3:MacではToo Much、iPod/iPhoneではToo Minimalな用途
もっともハードウェアを予想するだけでは、Apple Padの製品像は見えてこない。これまでがそうであったように、アップルのもうひとつの差異化技術はソフトウェアの実装技術だ。
フル機能を持つコンピュータがMacとして、その一部を切り出した製品がiPod、それにiPhoneで、それぞれが使われる場面に最適な機能を提供するよう、機能を吟味してソフトウェアやサービスを組み立てている。
では、Apple Padが活躍する場面とは、どんなシチュエーションだろうか?
もし文書やメディアの編集、整理を行うといったクリエイティブな作業を行うならば、タブレット型ではなくノート型のパソコンの方が理にかなっている。一方、情報の閲覧だけが目的ならば、iPod touchやiPhoneで充分だ。
アップルに近い人物が、「見た目はiPod touchの大きい版。電子ブックリーダー的な位置付けではあるが、Kindleのように発展性の低いものではない」と話していたが、電子ドキュメントを扱うデバイスというのは、いかにもありそうな話だ。加えてゲームやビデオを楽しむデバイスとして、iPhone/iPod touchよりスクリーンが大きくパフォーマンスも良いものになるだろう。
もちろん、Safariを通じてWebサービスにアクセスすることも可能だろうが、主要なサービスには専用のアプリケーションが用意される。Webを用いたユーザーインタフェースは、基本的にパソコンのキーボードとマウスによる使い勝手を想定して設計されているものがほとんどだからだ。
例えば、iPhoneのメールアプリを使う方が、SafariからGmailを使うよりも、はるかにスマートにメールを扱えるのと同じこと。画面サイズや解像度、それに入力デバイスが異なれば、適したユーザーインタフェースの実装方法は変化する。
NetbookのMac版が欲しいというユーザーに対して「低パフォーマンスなCPUを持つコンピュータでインターネットサービスを活用するなら、こうするんだよ」という回答を、Apple Padに込めているのではないだろうか。おそらく、価格もNetbookに近いものになると考えられる。
”よくもまぁ、ここまで妄想を……”と思ったあなた。いくつか確実と思われる情報は元にしているが、細かな部分はその通り、全くの想像に過ぎない。しかし、新しい市場を開拓するために、新たなデバイスが年内にデビューすることはほぼ確実だ。その姿や用途を想像するのも、また楽しいものではないか。
実は”タブレット型Mac”との噂を耳にした当初、個人的には全く興味がわかなかったのだが、噂の通りならば本当に新しい市場が生まれる試金石となるかもしれない。
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