「オトテン」で見つけた独創性あふれるスピーカーたち:耳がぜいたくになりました(2/2 ページ)
陶器製、天然木卵形、フィルム状……オトテンの会場には、珍しいスピーカーが盛りだくさん。AV評論家、麻倉怜士氏が海外で見つけてきたという期待のニューフェースも。
文字通り“瀬戸物” た陶器製スピーカー
陶器で作られたスピーカー「CERAMICS ART SPEAKER」(CAS)を展示していたのは、愛知県瀬戸市に本拠を置く陶器メーカー、聖新陶芸だ。前回のA&Vフェスタに続いての参加となった同社は、今回も「エンクロージャー=箱」という概念を覆す、独創的なスピーカーシステムを展示している。
例えば、バックロードホーン型の「彩雲」(ペア47万2500円)は、高さ63センチ/幅35センチの小柄な筐体に似合わない2メートル以上のホーンを持っているという。つまり、「筐体をぐるりと一周したうえに、底部では“M字”に曲げることで、長いホーンを構築しています」(同社)。形にとらわれない“陶器ならでは”の構造といえそうだ。
天然木削り出しの卵型スピーカー
秋葉原UDXビルの展示会場でもユニークなスピーカーを見つけた。花野井製作所が参考出展していた「Ovum」(オーヴァム)は、ラテン語で「卵」の意味を持つ木製スピーカー。
バイク用パーツのモデル(原型)製作が本業という同社。その技術を生かし、ホワイトバーチの積層材から卵型エンクロージャーを削りだした。卵型にした理由は、剛性の高さと回折を抑えられること、そして内面の対角距離がすべて異なるために特定の定在波が発生しないからだという。
ユニットは、16.5センチカーボンクロスコーン型ウーファーと、3センチソフトドームツィーターの2Way構成。ツィーターの前に曲面を利用したショートホーンを作り、底面にはやはり削りだしのバスレフポートを設けているという。外形寸法は、273(幅)×475(高さ)×424(奥行き)ミリ、1本あたりの重量は11キログラム。
Ovumは2010年春に発売予定。本体カラーは、展示機のレッドにくわえ、オークなどの追加も検討しているという。
フィルムが奏でる繊細な音
エルメック電子とクレハの共同ブースでは、クレハが開発した高分子ピエゾフィルムを振動板とするスピーカーシステム「HPS-01」を参考展示している。
一見、普通のトールボーイタイプ。しかし、普通ならツィーターが入っている部分に、透明なフィルムが波状に折り込まれたような“高分子ピエゾスピーカーユニット”が搭載されている。「ピエゾフィルムに電圧をかけるとフィルムが伸縮を繰り返して空気を振動させます。通常のダイナミックスピーカーとは異なる、繊細な高音域が特徴です」(同社)。
また、ケンウッドと共同開発中の照明を兼ねたポールスピーカーも展示していた。こちらは、筒状にした高分子ピエゾフィルムの中にライトを組み込んだという、フィルムならではのデザイン性が特徴だ。発売時期は未定。
「オーディオ&ホームシアター展 in AKIBA2009」の開催期間は、11月15日(日)まで。入場は無料。
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