3Dの“鉄則” 東芝編:麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/2 ページ)
4シリーズもの3D対応「REGZA」をそろえた東芝。中でも“CELL REGZA”「55X2」は、CELLの処理能力を生かして高度な2D→3D変換技術を備えた。55X2の機能と画質、そして期待の裸眼立体視対応テレビについて、AV評論家・麻倉怜士氏に解説してもらおう。
麻倉氏: CELL REGZAの場合、物体の動きに伴う情報から、色の類似関係、顔を認識するなど独自のアルゴリズム使って疑似3D化します。お城やパレードの映像を見ましたが、なかなか自然な立体感を得ることができました。これはデモンストレーション用の映像でしたが、CELLの性能など考えると十分に期待が持てます。コンテンツ不足に対しても有効な回答になると思います。
――55X2の画質についても聞かせてください
麻倉氏: まず2D映像については、コントラストが非常によくなってました。従来のCELL REGZAは白の明るさを強調していましたが、今回は黒の深みが出てきた印象です。LEDバックライトのローカルディミングをうまく調整したのではないでしょうか。
一方の3Dに関しては、画面が明るく、精細感も高くて良いと思います。ただし、クロストークに関してはまだですね。明るくするとクロストークが目立ち、クロストークを目立たなくすると暗くなるという“明るさとクロストークの問題”は、まだ完全な解決法が見つからないようです。
――東芝は裸眼立体視3Dテレビの研究も進めています
麻倉氏: 東芝研究開発センターではNHKも提唱しているインテグラル方式の裸眼立体視も研究しています。今はメインがメガネ付きのテレビですが、実は3Dの世界はもっと広くて、それには裸眼立体視も含まれます。もちろん、大きなテレビという枠で理想(裸眼立体視)を実現するのはまだ先の話ですが、今の技術開発をしっかりやらないと将来の裸眼立体視テレビも出てきません。東芝は、先をしっかりと見ているな、と感じました。
Blu-ray 3D規格の策定時には、パナソニックが推すアクティブシャッターメガネ方式とフィリップスが提唱した裸眼立体視の方式が対立した経緯があります。裸眼立体視にも一定の支持があったので、やはりメーカーにも裸眼立体視に対する憧れはあるのでしょう。現在、裸眼立体視のディスプレイは、ニューサイトジャパンなどが熱心に訴求していますが、今後もさまざまなアプローチが出てくると思います。東芝も10月の「CEATEC JAPAN 2010」では比較的小さなディスプレイで、裸眼3Dテレビを発表すると公言しています。楽しみですね。
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