HVT方式をリビングに、東北パイオニアが参考展示:CEATEC JAPAN 2010
パイオニアブースの一角にスタイリッシュなスピーカーの一群が展示されている。東北パイオニアの独自技術、HVT方式を用いたスピーカーのコンセプトモデルだ。
パイオニアブースの一角にスタイリッシュなスピーカーの一群が展示されている。ヘッドフォンなどで知られる東北パイオニアが、独自技術のHVT方式スピーカーを用い、家庭用オーディオ機器の新しいスタイルを提案するコンセプト展示だ。
HVT方式は、Horizontal-Vertical Transformingの略。ボイスコイルなど駆動力の水平運動を垂直方向に変換するリンク機構をスピーカーユニット内部に取り入れ、スピーカーユニットの大幅な薄型化と低振動化を可能にする。同社は今年1月にHVT方式の技術発表を行い、2月には製品化の第1弾となる車載用サテライトスピーカー「TS-STH1000」を発売した。
TS-STH1000は、通称“ステルススピーカー”と呼ばれるほどの薄さを実現したが、HVT方式のメリットはそれだけではない。例えば、強力な駆動部(磁気回路・ボイスコイル)を使えば、小容積のエンクロージャーでも豊かな低域再生を可能にするユニットを作成できる。また振幅を制限する必要がないため、従来のダイナミック型スピーカーに比べてより低い最低共振周波数のスピーカーユニットを設計可能。さらにHVT方式ユニットを背中合わせにした両面駆動方式とすれば、互いに振動を打ち消し合い、振動が少なく、ほぼ指向性もないスピーカーが出来上がるという。
こうしたメリットを生かし、カーオーディオ以外の分野にもHVT方式を拡大しようと作成されたのが、今回のコンセプトモデル。例えば木目のキャビネットをまとったフロア型スピーカーには、ウーファーとして両面駆動方式のHVTスピーカーユニットが入っている。振動が少ないため、スタンド部は金属製の棒一本でいい。高級感がありながら、薄くスマートな外観となった。
壁掛けテレビの両脇にはり付けた“壁掛け”スピーカーは、薄型にできるHVT方式ならでは。薄くても量感のある低音を再生できるため、別途サブウーファーを設けなくても十分なワイドレンジを実現できる。
プロトタイプの中で、唯一、実際に音を出していたのが、ノートPCと組み合わせた小型アクティブスピーカーだ。PC用スピーカーにありがちな貧弱な音とはひと味違う、サイズに見合わないオーディオ的な音を聴くことができた。
関連記事
- スピーカーを薄くする新方式、東北パイオニアが開発
東北パイオニアは1月29日、スピーカーの著しい薄型化を可能にするという「HVT方式」技術を発表した。HVT方式は、Horizontal-Vertical Transformingの略。 - CEATEC JAPAN開幕、3Dテレビ新製品を各社が展示
CEATEC JAPANでは、家電メーカー各社が3Dテレビを中心に新製品を展示。またパナソニックはテレビで「Yahoo!オークション」や電子書籍が楽しめる新しいテレビ向けネットサービスを参考展示している。 - 東芝、裸眼立体視に対応した「グラスレス3Dレグザ」を発表
東芝は、「CEATEC JAPAN 2010」開幕前日となる10月4日、専用メガネを使用しない裸眼立体視が可能な“グラスレス3Dレグザ”「GLシリーズ」2機種を発表した。同社の展示ブースには、56V型の試作機も参考出展。 - 東芝の“クラウドテレビ”構想、「レグザ Apps コネクト」とは?
東芝は、クラウドを活用してテレビやBDレコーダーを有機的に“つなげる”新サービス「レグザ Apps コネクト」を発表した。同社の「クラウドテレビ構想」について、東芝ビジュアルプロダクツ社の片岡秀夫氏と、REGZAの商品企画・マーケティングを担当する本村裕史氏に話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.