上位機を超える3D画質、ソニー「VPL-HW30ES」に驚いた:山本浩司の「アレを観るなら是非コレで!」(2/2 ページ)
ソニー「VPL-HW30ES」の試作機をチェックする機会を得た。上級機と同じ240Hz駆動のSXRDパネルを用いて3D対応を果たし、型番末尾にソニー高級モデルの証となる“ES”が刻印されたモデルである。
上位機「VPL-VW90ES」と比較
実際に2D再生で両機の画質を比較してみると、確かに黒のつやとかホワイトバランスの安定感、階調の表現力、コントラストの高さに裏打ちされた立体感の表現力で上位機VPL-VW90ESの優位性を実感したが、その差は予想より小さかった。発売までまだ少し時間があるので、チューニングを追い込むことでVPL-VW30ESのさらなる画質向上を期待したいところだ。
ちなみに、VPL-VW30ESの映像モードは9つ用意されており、VPL-VW90で話題を呼んだ3つの映画系モードがそのまま踏襲されている。すなわち映画用ポジの発色・ガンマパターンを解析した結果を盛り込んだ「シネマ1」、デジタルシネマで定められた色域(DCI)に準拠した「シネマ2」、それに業界標準となっている同社製マスターモニターの画調をトレースした「シネマ3」である。
自室のスクリーン映像を映画のフィルムルックになんとか近づけたいと願う方にとって、じつに頼もしい映像設計と言っていいだろう。なお、それぞれの映像モードには、その3Dバージョンも用意されている。
3D画質については、先述の通りVPL-VW30ESが断然すばらしい。本機は3Dレディー機という位置づけで、3Dメガネの「TDG-PJ1」(約1万円)、トランスミッターの「TMR-PJ1」(約8000円)は、オプション扱いとなる。VPL-VW90ES用3Dメガネは、同社製3Dテレビ用を流用して、その表面に偏光フィルターを貼ったものだったが、TDG-PJ1はVPL-VW30ES用に新たに開発されている。質量が約20グラム軽量化されたとのことで、かけ心地も大きく改善されていると実感した。
「トロン: レガシー」が観たい
ところで、筆者は市販されている映画/アニメ系Blu-ray 3Dのほとんどを観ているが、実際のところその3Dクオリティーは玉石混淆。どちらかというと石っころが多い印象だ。とくに実写映像作品の3D化は難しい。われわれはふだんの生活の中で両眼視差だけに頼って事物を立体認識をしているわけではないというのが、その大きな理由だろう。
いっぽうで「いまだかつて見たことのない世界」が描かれるCGアニメ系は、現実認識の記憶との脳内比較が行なわれないので、新しい視覚体験として視差による3D映像を受容しやすい。実際、現時点でBlu-ray 3Dのベスト3を選べと言われてすぐ頭に浮かぶのは「アバター」(パナソニック3D関連製品の購入特典で市販されていない)、「ガフールの伝説」「クリスマス・キャロル」などのCG系作品だ。
そして、つい最近自室で観てその3D効果を含む映像・音響デザインのすばらしさに圧倒されたBlu-ray 3Dが「トロン: レガシー」だ。CGが初めて大胆に導入された1982年作の続編に当る作品で、ストーリーやプロットは前作を引き継いでいるので、28年前の「トロン」に夢中になった方には絶対お勧めの作品だが、前作を観ていない方でもその卓越したビジュアルセンスに圧倒され、3Dの面白さを堪能できるだろう。ワイドなシネマスコープ画面と16対9のハイビジョン画角が切り替えられる作品だが、その16対9画角で繰り広げられる3Dシーンがよく考えられていて、自然な奥行感が随所で味わえるのである。
とくに主人公の青年サムが現実世界のゲームセンターからサイバーワールドにワープするシーンでの3D演出がすばらしい。また、ライトサイクルのバトル・シーンやグリッド(闘技場)での格闘シーンでも3D演出のみごとさを実感できるだろう。このへんのスリルは明らかに映画館体験を上回るはず。
手頃な価格で明るくキレのよい3D画質を実現したソニーのVPL-HW30ES。ぜひ一度本機でBlu-ray 3D「トロン: レガシー」を体験してみたいと思った。
→ソニーストアで「VPL-HW30ES」をチェックする
いちだんと明るく、クッキリとした3 D映像を再現。新「SXR D」搭載の高画質スタンダードモデル。価格は36万8000円(税込/予定)。
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