GfKのデータから見る、世界のスマートデバイス普及の潮流:IFA GPC 2012(2/2 ページ)
世界最大の家電トレードショウ「IFA 2012」開催を控え、メッセ・ベルリンがカンファレンスを開催。家電分野とも関係が深くなりつつあるスマートフォンやタブレットについて、GfKが市場の分析を行ったので紹介する。
スマートフォンは新興国でも普及
一方、スマートフォンに関しては、もっと明確な数字が出ている。具体的な数値はGfK発表のグラフに任せるが、簡単にまとめるならば“デジタル家電”というカテゴリーの中でのスマートフォン比率が激増していくということだ。
世界の各地域と比較した、携帯電話とスマートフォンの伸び率では、アジア地区が目立っている。先進国の多くで、フィーチャーフォンのマイナスがスマートフォンのプラスにつながっている(フィーチャーフォンからスマートフォンへの買い換えが進んでいる)のに対し、アジア地区の新興国ではスマートフォンの登場によって携帯電話の契約数自体が増えている。
それまで携帯電話を持たなかった人が、スマートフォンをきっかけに契約するようになったことに加え、1人で複数回線を契約する傾向もアジアでは多く見られるという。アジア新興国でのスマートフォンの伸びは、2012年に+69%になると予測されている。東欧も同様に大きな伸びを見せており、新興国ほどスマートフォンの浸透が早い。
こうしたアジア地区におけるスマートフォン普及の加速は、Android比率の高まりとともに始まったと、GfKのアナリストは指摘した。現在、アジア地区で販売されているスマートフォンの61%がAndroidベースである。Androidによって参入障壁が下がり、低価格端末が多数登場したことがシェア拡大に寄与している。
興味深いのは、日本の場合、iPhoneの発売時期にAndroidのシェアが大幅に下がるのに対して、アジア地区ではコンスタントにAndroidが増えていることだ。これは端末価格やバリエーションの幅広さに何らかの関連性があるのだろうか。日本や韓国などの成熟したアジア市場を除くと、アジアのスマートフォン普及をドライブしているのは低価格Androidスマートフォンであるように読み取れる。
コンパクトデジカメ市場にも影響が及ぶ
一方、スマートフォンの普及とデジタルカメラ市場の関連性も興味深いデータが出ている。アジア地区のユーザーが使っているカメラデバイスは、年々高画素化が進んでいたが、ある時点から800万画素以上の高画素カメラの利用率が下がってきている。このトレンドの変化を作ったのがスマートフォンという分析だ。800万画素以上のカメラの99%が単機能のカメラで、800万画素を下回るカメラの99%がスマートフォンだとGfKは主張している。
このことはスマートフォンとデジタルカメラ、それぞれのカテゴリーごとに画素数トレンドを見ると明らかで、スマートフォンの画素数が増えると、エントリークラスの単機能カメラが減っていくというトレンドを作っているのが分かる。今年、デジタルカメラ市場はワールドワイドでマイナス5%成長となっている。
レンズ交換式デジタルカメラは増加する見込みであるため、マイナスの原因はコンパクト機にある。これまでフィーチャーフォンとデジタルカメラの競合が問題になることはなかったが、スマートフォン(単に画質だけでなくSNSとの親和性など使い勝手の面での違いが大きい)との競合は、デジタルカメラに大きな影響を与えているようだ。
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