見かけ以上の良コスパ、“ポタアン”入門機に──上海問屋「DN-69230/DN-68886」:野村ケンジのぶらんにゅ〜PCオーディオ Review(2/2 ページ)
音楽は“いい音”で聞きたい──。それならば、自作に続くオトナのPC遊び「PCオーディオ」に挑戦してはいかがだろう。今回は少し趣向を変えて、携帯プレーヤー向けのポータブルアンプを2機種まとめて視聴する。
これがポタアンの恩恵か──と理解できる、重層的で厚みを感じる演奏に
試聴は、プレーヤーにアップル「(第3世代)iPod touch」、イヤフォンにSHURE「SE215」とUltimte Ears「Triple Fi 10(Pro)」を用いて行った。
ひとまず2モデルともポータブルヘッドフォンアンプとしては確かな実力を示してくれたのだが、音質的に良好だと感じたのは前者のDN-69230だ。比べると抑揚感が格段にダイナミックなうえ、ポータブルプレーヤーの直差しでは聞こえにくかった細部の表現もはっきりとしてくる。同時に、再現して聞こえる音数もかなり増えているのだろう、重層的で厚みを感じる演奏を聞かせてくれる。これがポータブルヘッドフォンアンプの恩恵か──と、分かりやすく購入満足度が得られるであろう豊かなサウンドだ。
一方、高域側に若干のゆがみを感じること、電源を入れるときに大きめのポップノイズが出ることなど、いくつかの弱点はある。ともあれ、サウンドクオリティに関していえば、倍の価格であっても納得できそうな、コストパフォーマンスの高さは特に評価したい。
後者のDN-68886は、DN-69230ほどのクオリティ向上は感じられなかったが、解像度感の向上においては明らかなメリットが享受できた。特に女性ヴォーカルはピュア度が高い、よく通る声になるので、とても雰囲気よく音楽を楽しめる。バラード系やウィスパーボイス系のヴォーカルソングをよく聞く人に相性がよさそうだ。
ちなみにインピーダンスのハイ/ロー設定は、(バッテリー動作時間は短くなるが)ハイを基本と考えた方がよい。少し音が荒れる傾向はあるものの、ヘッドフォンアンプならではのメリハリのよさをしっかり感じられる。特にSE215で聞くと、ヴォーカルの存在感が際立つ印象だ。
本機でもっとも残念なのは、ボリュームを上げすぎると音のひずみがかなり大きくなることである。このため、音圧感度の低いヘッドフォン/イヤフォンにはあまり向かないといえるかもしれない。
結論としては音質的にはDN-69230だ。ただし、よりスマートに/カジュアルにポータブルアンプを活用したいならDN-68886も十分な手応えを感じられるだろう。
ともあれ両モデルともコストパフォーマンスがよいので、「初ポタアン」にチャレンジするならまずは今回のどちらかを選んでみてはいかがだろう。エントリーユーザーにもってこいの製品だ。
音質評価 | DN-69230 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−○−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−○−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
音質評価 | DN-68886 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) |
試聴曲
- Marcus Miller「Jean Pierre/FREE」
- 小曽根真「ドゥムカ(あるべきもなく)/Road to Chopin」
- 上原ひろみ「voice/voice」
- Raul Midon「Moment To Moment/SYNTHESIS」
- santana「Whole Lotta Love/Guitar Heaven: The Greatest Guitar Classics of All Time」
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