パッケージメディアの逆襲(後編):麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/3 ページ)
音楽や映画のネット配信もすっかり定着したが、一方でCDやBDといった既存パッケージメディアにも高音質化や高画質化といった新しい動きが出てきている。後編ではBlu-ray Dsicの動向を中心に紹介しよう。
おまけコーナー:SPECの勝負アンプは出来がいい
――久しぶりのおまけコーナーです!
麻倉氏: スペック(SPEC)の新プリメイン「RSA-888」にすごく感動したので紹介したいと思います。スペックは元パイオニアの社員が設立したアンプメーカー。「リアルサウンド」(音楽の本当の音)を再生するをモットーに、アンプづくりを進める音の職人集団です。
これまで3台の音質に優れた、音楽性の高いプリメインアンプを作ってきましたが、いちばん安いものでも45万円もしました。RSA-888は「この音は好きだが、もっと手に入れられるようなアンプが欲しい」という潜在ユーザーの声に応えたものです。価格は30万円以下(29万9250円)ですが、実に素晴らしい音調でした。
スペックは6月4日にテレビ東京の「ガイアの夜明け」で紹介され、一気に注目度が上がりました。「元音響メーカーの男たち、世界を驚かす」というタイトルで、頑張る日本の家電ベンチャーとして会社設立のいきさつから製品の企画開発、そしてミュンヘンのハイエンドショーで海外からの高い評価を得るまでを構成した内容でした。そこで、近々20万円台のアンプが開発され発売されるというアナウンスがあり、実際に設計、音決めの場面が撮影されました。その反響はひじょうに大きく、テレビ東京にはそれから数日で1万件以上の問い合わせがあったそうです。
RSA-888は、デジタルパワーICを新調(集積度を上げる)、スイッチング電源を高音質化するためにさまざまな工夫を行うなど、スペックもアンプ4作目で勝負に出た感じです。音質は、私が認識していたスペックのアンプの「優雅で、まろやか」というイメージを覆す、明確で、ハイスピード、そして低域が充実した剛性の高いサウンドです。木製のサイドバネルの楽器のような形も、おしゃれと同時にスタビライザー機能も果たしています。形から音楽が連想されますね。
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