騒音9割カット、でも人の声は聞こえる「デジタル耳せん」:橘十徳の「自腹ですがなにか?」(2/2 ページ)
キングジムの「デジタル耳せん」は、音楽用イヤフォンなどに使われているノイズキャンセリング機能を単体で利用できる耳せん。スイッチを入れるだけで騒音をカットしつつ、人の声は聞き取れる状態になる。
空調やPCのファン音はほぼ無音に
普通の音楽用カナル型イヤフォンのように耳に入れて装着したら、電源をスライドさせればノイズキャンセリング機能がオンになる。スイッチの横にはLEDランプも搭載されており、動作中はオレンジ色に点灯する。電池残量が少なくなるとLEDが点滅して知らせるので便利だ。
ノイズキャンセリングの仕組みは、音楽用イヤフォンでも多く採用されているアクティブ型ノイズキャンセリングそのもの。イヤフォン部分に内蔵した小型マイクで騒音を拾い、本体のノイズキャンセリング回路で逆位相(反転)の音を発生させて互いに打ち消す。この製品の場合、主に300Hz以下の騒音を低減させる仕組みになっており、電話の着信音や話し声など、それ以上の周波数成分の多い騒音にはほとんど効果はないという。
電源を入れると、数秒後に突然、周囲のノイズが消えてサッと静かになる。完全に無音になるわけではなく、ほかの部屋のガサゴソ音などが完全に消えるわけではないが、ファンヒーターの運転音やPCのファン、シェーバーの自動洗浄機の音などはほとんど聞こえなくなる。PCのキーボードの打鍵音については、カチャカチャ音は消えないものの聞こえ方がかなりマイルドになった。
説明書に書いてある通り、人の声に対してはほとんど効果はないが、それでも耳せんをオンにしているとわずかに小さな声になる。
タッチノイズ対策にはシュア掛けが有効
空調音などの環境音に対してはかなり効果があるが、ひとつ気になったのは、コードなどが衣服などにこすれたときに発生するタッチノイズだ。音楽用のカナル型イヤフォンでも同様の問題が起こるが、このデジタル耳せんも例外ではない。
これについては、耳せんのコードを上部に回して耳たぶの裏を這わして装着する、いわゆる“シュア掛け”を行うことにより、かなりマシになった。
このほかのマイナスポイントとしては、前述した通り、本体サイズの大きさが挙げられる。ノイズキャンセリング機能搭載の音楽用イヤフォンの中にはコンパクトなものがたくさんあるので、デジタル耳せんももう少し本体を小さくしてほしかった。
この点に納得がいくのであれば、ノイズキャンセリング機能に特化した製品ということでおすすめできる。筆者の場合はこの静音効果に慣れてしまい、家の中でもこれなしでは原稿を書くことができなくなった。環境音に悩んでいる人は要注目だ。
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