欧州向けUltra HD BDプレイヤー「DMP-UB900」はどんな製品? 開発担当者に聞いてみた:CES 2016
パナソニックが今年のCES会場に初のUltra HD Blu-rayディスクの再生に対応するプレイヤー「DMP-UB900」を出展した。しかし、日本で同様のUltra HD BDプレイヤーが発売される可能性はあるのだろうか。開発担当者に話を聞いた。
パナソニックが今年のCES会場に初のUltra HD Blu-rayディスクの再生に対応するプレイヤー「DMP-UB900」を出展した。本機はどんな製品なのだろうか。今回パナソニックブースにて、“DIGA”(ディーガ)シリーズをはじめBDレコーダーやプレイヤーの開発を担当する甲野和彦氏をたずね、詳細をうかがった。
本機はアメリカの展示会で発表された製品だが、基本的には4Kに意識関心の高い欧州市場向けに、ハイエンドクラスのプレイヤーとしてリリースされるものだ。発売時期は今年の春頃を予定しており、1000ユーロ(約12.8万円)を切るぐらいの価格で発売される予定だ。
では、日本で同様のUltra HD BDプレイヤーがパナソニックから発売される可能性はあるのだろうか。甲野氏は「今回のイベントではコメントはできない」とし、その可能性を完全に否定することはなかった。実現すれば2010年にパナソニックが発売した、画質にこだわったBlu-ray 3D対応のプレイヤー「DMP-BDT900」以来のハイエンドクラスの単体ディスクプレイヤーとなる。
コアとなる4KエンジンにはUltra HD Blu-rayディスクの再生に最適化したものを搭載する。国内では昨年末に発売された“DIGA”のフラグシップ「DMR-UBZ1」と同等クラスのものになると甲野氏は説明する。「4K/4:2:0」映像信号の入力を受けて「4K/4:4:4」映像にアップコンバートする「4K High-Precision Chroma Processor」が採用されているが、これはDMR-UBZ1でいうところの「4Kリアルクロマプロセッサplus」に相当するものだ。また2K/4:2:0映像再生時の「4KダイレクトクロマアップコンバートPlus」に相当する「4K Direct Chroma Up-scaling」も搭載する。THX認証も取得する予定だ。
コンテンツ再生時の音質にもこだわった。本体には大容量電解コンデンサーやLANコモンモードフィルターなど高音質コンポーネントを惜しみなく盛り込み、DLNAネットワークを介して最大192kHz/32bitまでのハイレゾ再生が楽しめるDACも内蔵する。ハイレゾ再生は5.6MHz/2.8MHzのDSDやWAV/FLAC/ALAC形式のファイルをカバーしたほか、192kHzまでのアップサンプリング機能も搭載。DIGAシリーズに搭載される真空管サウンドのエミュレーター機能「真空管サウンド」には6種類のテイストが用意されている。「全体の音質設計はDMR-UBZ1の音づくりに関わった当社のエンジニアが担当している」と甲野氏は説明する。
HDMIからの音声は「HDMI低クロックジッターシステム」により低ノイズ化。映像と音声を分離出力できる2系統のHDMI端子が搭載されている。7.1chのアナログオーディオ出力も贅沢に設けた。底部には樹脂製だがインシュレーターも付いている。
4K/HDRに対応していない4Kテレビを所有するユーザーがこのプレイヤーを購入することもあり得る。そのためHDRのソースのダイナミックレンジをSDRに変換するダイナミックレンジ変換調整機能ものせて、HDMIで接続したテレビが表示可能な輝度のレンジに合わせて、ユーザーがマニュアルで好みの映像に追い込める。設定はメニューから±12のステップで細かく追い込むことができる。
DIGA「DMR-UBZ1」もコンテンツ再生時の画質・音質の高品位に妥協のない再生機だが、ユーザーごとに異なる多様な視聴スタイルに合わせてUltra HD Blu-rayの高品位な再生にこだわった再生専用機が出てくれば、日本国内でもポジティブに受け入れられるに違いない。
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