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堅実さと斬新さが同居するリコー初のフルサイズデジタル一眼レフ「PENTAX K-1」(2/3 ページ)

リコーイメージングが、PENTAXのレンズ資産を生かせるフルサイズデジタル一眼レフカメラをついにリリースした。PENTAXらしい、ユニークな機能を搭載しつつ、しっかりと解像感の高い写真が撮れるのが印象的だ。

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3840万画素+ローパスレス+リアル・レゾリューションの驚異的な解像感

 さてここからは普通にカメラの話。K-1のセンサーはフルサイズで3640万画素と高画素タイプ。その上ローパスフィルターレスなので解像感が高い。

 モアレが出てしまうときは「ローパスセレクター」を使うと、若干解像感は落ちるがモアレを低減することができる。ローパスセレクターは手ブレ補正機構を利用してセンサーを微細に振動させることでローパスフィルターと同等の効果を得ようというものだ。まあローパスセレクターは普段はオフでOK。

 PENTAXの一眼レフカメラなので、当然ボディー内に手ブレ補正機構を搭載する。今回は5軸手ブレ補正なおかつ補正効果は5段とよりパワーアップしている。センサーサイズがでかく(つまり重く)なったのにさらに手ブレ補正が下位モデルより強化されているのはすごい。

 PENTAXらしいのは(以前から搭載されてる機能なんだけど)この「センサーを微細に動かす機能」を生かしたユニークなデジタルカメラならではの撮影方法を搭載してきたこと。

 ローパスセレクターもその1つだし、センサーを動かして行う「構図微調整」や、内部のセンサーを組み合わせてカメラが多少斜めになっていても自動的に水平にしてくれる「自動水平補正」もある。風景や建物をきっちり撮りたいときにいい。

 で、その「微細にセンサーを動かす」機能の最たるものが「リアル・レゾリューション・システム」だ。

 1回のシャッターでセンサーを1画素ピッチずつ微妙に動かしながら4枚撮影して合成することで、リアルな3840万画素の絵を作り出すというもの。同じ3840万画素でもオンとオフでは撮れる写真が全然違う。K-1では新しく動体補正モードを搭載しており、屋外でも使いやすくなった。

 リアル・レゾリューション・システムはその構造上、カメラがわずかでも動いたらアウト。だから三脚は必須、それも一眼レフをしっかり支えるそれなりの三脚が必要で、撮影もケーブルレリーズかセルフタイマー推奨というシビアな機能だ。

 それでも、屋外撮影だと人が通りがかったり風が吹いたりするとそこだけ合成がずれちゃう。動体補正はそれに対応する機能だ。動体を見つけるとそこだけ合成しないのである。

 具体的にはこう。同じ場所で撮影したカットから特徴的な部分を等倍で切り出してみた。

PENTAX K-1
リアル・レゾリューション・システムのオン/オフと動体補正のオン/オフ

 同じ場所を人が通る瞬間を狙って撮ったのである。

 リアル・レゾリューション・システムをオンにすると通常の撮影では背景に融けちゃう細い電線もしっかり描写されてる。で、動体補正オフだと歩いている人が分身の術を使っちゃうけど、オンだとちゃんと止まって写る。でも動体以外の部分はしっかり高精細だ。これはいい。

 三脚が必須だが、この超高精細感はたまらん。これがリアルな3840万画素なのだ。

 一応全体像(リアル・レゾリューション・システムオン)を。

PENTAX K-1
リアル・レゾリューション・システムで撮影した

 文字があるともっと分かりやすい。

PENTAX K-1
左が通常撮影。右がリアル・レゾリューション・システムオン。露出がちょっと異なるのは天候が微妙だったせいかと思う

 実に面白い。

 AFは速いけど、快適さはレンズ次第。PENTAXの一眼レフカメラのAFは、ボディー内のモーターでレンズを駆動して行っていた。しかしそれだとどうしてもAFが遅い。そこで最新のズームレンズではレンズ内モーターに切り替わりつつあるが、単焦点レンズなどちょっと前のレンズはみなボディー内モーターを使っている。だからAF駆動音が大きく、他社のレンズ内モーターを使ったAFに比べると遅い。まあPENTAXユーザーにはおなじみだろう。

 連写は秒間4.5コマとちょっと遅め。つまり、高速AFでガシガシ連写するような使い方をするカメラじゃないってことだ。

 ISO感度はISO100から最高で204800。ISO二十万四千八百である。

 ただ、センサーが特に超高感度というわけじゃない。真っ暗な住宅街で猫を発見したのでISO102400まで上げてみたが、さすがにかなりノイジー。どうしても暗いところで撮りたい時用だ。

PENTAX K-1
F5.6、1/50秒、ISO102400、レンズ:HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR、焦点距離:105mm

 操作系もちょっと手を加えられた。

 今までのKシリーズはISO感度・絞り・シャッタースピードの3つを即座に変えられるトリプルダイヤルが素晴らしかったのだが、3つ目のダイヤルがスマートファンクションダイヤルとなった。

 ボディー右肩にあるダイヤルの機能を、機能ダイヤルで決めるというもの。これを露出補正にすればダイヤルは露出補正ダイヤルに、ISO感度にすればISO感度ダイヤルに、その他Wi-Fi、HDR、ブラケットなどあらかじめ9個の機能が割り当てられている。

PENTAX K-1

 3つある電子ダイヤルのうち、1つは機能をその場でカスタマイズできますよということだ。

 それ以外もPENTAXらしく、一見ややこしいが、慣れたらさまざまな機能をさっと設定できる実用的なものに仕上がってる。

 写真とともにどうぞ。

PENTAX K-1
上面。露出補正とISO感度はボタンの高さが違うので手探りでもすぐ分かる。撮影モードは左側に。SvモードはISO感度優先。TAvは絞りとシャッタースピードを決めるとISO感度を変える自動露出モード。撮影モードが豊富なのだ
PENTAX K-1
左側面にはフォーカス関連と、RAWボタン(これを押すと一時的にRAWデータも撮影できる)がある
PENTAX K-1
背面。モニターには細かいセッティングに加えて「今どのダイヤルを回すと何が変わるか」も明示してくれるのがよい。モニターの右には十字キー、グリーンボタンなどがある

 さらに細かい撮影機能が山ほどある。全部紹介するのは大変なのでメニューだけ。

PENTAX K-1
ハイライト補正、シャドウ補正、ノイズ低減、明瞭度、肌色補正、ローパスフィルター、リアルレゾリューション、レンズ補正などなどがこのメニューからさっと変更できる

 ちなみに肌色補正機能を使うとこんな効果も得られる。

PENTAX K-1
肌色補正なし
PENTAX K-1
肌色補正あり

 色や階調、レンズの収差補正などデジタルを使ってコントロールできるものはどんどん入れちゃえ、的なところがなかなかいい。

 PENTAXの一眼レフの面白さは、老舗ならではのレガシーなカメラの良さを保ちつつ、デジタルならではのアイデアを遠慮なく詰めこんできてるところにあり、K-1はまさにその真骨頂と言える製品なのである。

(モデル:長澤佑香/オスカープロモーション)

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