KDDIのケータイ2001年戦略(上)──auはどこへ向かう?

今年中にJavaを載せ,Bluetoothを載せ……。今年もKDDIは最新技術を続々投入していく。2001年のケータイの技術的変化を一挙紹介。

【国内記事】 2001年1月23日更新

 2001年,現在携帯電話市場で2番手を走るKDDIはどのような戦略を持っているのだろうか? 2000年12月の段階で,auグループ+ツーカーグループを合わせた契約者数は,1432万人あまり。首位のNTTドコモに倍以上の差をつけられた形だ。

 それだけに,KDDIはcdmaOneの導入や位置情報サービスの開始など,技術の導入には積極的だ。今年のケータイと大いに関連してくるであろう技術,「Java」「Bluetooth」「カラー液晶」「PCM音源」「SIMカード」に関してどう考えているのだろうか? KDDIに,au携帯電話の今後の見通しを聞いた。

電気通信事業者協会(TCA)発表。2000年12月末

Javaの導入──2001年中

 Javaを載せたNTTドコモの「503i」シリーズが発売される。それを追う形で,KDDIもJ-フォンも“Java搭載携帯電話”を予定している。auの場合は,どんなスケジュールと仕様になるのだろうか?

 KDDIでは,ドコモの仕様を踏まえて,包含する形で携帯電話にJavaを搭載する。つまり,ドコモ向けに作ったアプリケーションは,KDDIの携帯電話でも動くようにしたい,ということだ。「独自仕様というよりは,標準仕様に基づいて出したい」(KDDI)

 これは,プロファイルとして「MIDP」を採用する予定のJ-フォンとは異なるアプローチだ(2000年4月17日の記事を参照)。第3世代携帯電話の各キャリアは,以下のようにJavaの実行環境を搭載していく予定になっている。

キャリア NTTドコモ J-フォン KDDI
プロファイル DoJa(独自仕様) MIDP ドコモ仕様を包括する形
JavaVM CLDC CLDC 不明

Bluetooth──2001年中

 もう1つ,携帯電話に限らず今年の小型端末のトピックといえるのが,近距離無線通信規格である「Bluetooth」だ。

 KDDIでは,「最初はオプション的な外付けのものになる」としながらも,今年中にBluetoothの搭載を予定している。携帯の使い方が一変するくらいの技術なので,新しい使い方を提案できるように模索中ということだ。

 OBEXプロファイルが共通であるなど,Bluetoothの兄弟ともいえるIrDAの搭載は検討中(2000年12月22日の記事を参照)。どんな無線系を入れるかは,端末メーカーと話し合いながらという形で進めていく。「キャリアと端末メーカーのどちらかがイニシアティブを取るということはない」というスタンスをKDDIは取っている。

大型カラー液晶──できる限り大きな液晶を

 携帯電話の表現力の面で,近年最も大きく変わったのは液晶だ。J-フォンをはじめ,NTTドコモの503iシリーズも“カラー液晶を必須”としてきている。サイズも2インチと大きくなり,従来のSTN液晶も大幅に性能が向上し,さらにTFTの省電力版であるTFD液晶も搭載する機種が出始めている。

 「大きければ大きいほどいい。大きいほうが表現力が増すので,大きな液晶を載せるようにしている」(KDDI)

 液晶の決め方としては,KDDI側がEZwebの仕様という形で最低限のスペックを出す。それ以上は,話し合いの中で決定されているという。「基本的に,4xxシリーズから全てカラー」という仕様はあるものに,C405SAだけ例外的にモノクロ。「薄型なので載せられなかった」のだという。

 「4xxシリーズに関しては,これまで端末の魅力が他社に比べて劣っていたという認識があった。一機種ずつ何か特徴をつけるという意識の元に,カラー液晶でIMAP4対応で……というスペックを出した」(KDDI)

PCM音源──過去との互換性よりも性能を重視

 KDDIの最新の端末,C4xxシリーズでは,C406SとC404SがFM音源,ほかはすべてPCM音源を搭載している。他キャリアに先駆けて16和音化に取り組んだ印象のあるKDDIだが,この先はどうなのか。

 今後の着信メロディの進化としては,「実際の音楽を着信音にするかどうかは分からない。ただし16和音で終わりではない」と,まだ隠し球が控えている模様。

 着信音という点では,業界初となる音楽プレーヤー内蔵携帯電話C404Sが今後の議論の出発点となりそうだ(2000年9月25日の記事を参照)。「DIVA(C404S)では音楽が聴ける。これを着信音にできないのか? という問い合わせが多い」(KDDI)

 新機能を次から次へと盛り込んでいく点では,KDDIはアグレッシブ。これまでのフォーマットを変更することになっても最新技術を導入している。「着信音などはコンテンツプロバイダとのやり取りの中で負担になっている部分もあるかもしれないが,できるだけ最新の技術を入れて,斬新性を高めていきたい」(KDDI)

SIMカード,UIMカード──検討中だが大きな可能性が

 これから,携帯電話が電子商取引の道具として利用されるようになっていく際に,大きな期待を寄せられているのがUIMカードだ。

 ヨーロッパのGSM方式の携帯電話には,SIMカードと呼ばれるカードが内蔵されており,自身の電話番号などが保存されている。端末を買い換えても,SIMカードを交換することで同じ番号を引き継げる仕組みだ。UIMカードは,SIMカードをベースに,個人認証機能も行える機構を付け加えたもの(2000年12月21日の記事を参照)。

 KDDIでは,「W-CDMAの場合だとGSMがベースにあるので,SIMカードが必須。cdma2000の場合,cdmaOneがベースにあるので,(SIMカードは)必ずしも必須ではない」とし,SIMカードの導入は検討中だという。とはいうものの「(SIMカードには)ID(個人認証)的な役割や電子財布という機能も持たせられる」と,SIMカード搭載で生まれる新しいビジネスモデルの可能性を模索中といったところだ。

 KDDIが,携帯電話情報のストレージとして考えているのは,C404Sに搭載されているメモリースティックのような普通のメモリカードかもしれない。「現在,C404Sではメモリースティックと携帯電話の機能がリンクしていない。音楽に限らず,メモリダイヤルや住所録の記憶媒体としてメモリースティックを使えないか」(KDDI)

 ただし,住所録やメールアドレスなどの個人情報の管理には慎重だ。これらのデータが別の端末でも利用できる場合,勝手に個人情報を使われる可能性もある。「楽曲データをマジックゲートで著作権保護しているように,携帯電話のデータをメモリースティックに入れた場合,プライバシー保護の観点が必要になってくる」(KDDI)

明日は,IMT-2000のロードマップを中心に,「高速データ通信」「位置情報利用」などのKDDIのケータイ2001年戦略「cdma2000編」をお届けする予定だ。

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[斎藤健二,ITmedia]

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